浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0248A01: | て請ぜられければ。師錫を東に飛し。彼等において |
J18_0248A02: | 説法せらる。又請を諸の寺院にうけ。處處に法筵を |
J18_0248A03: | 開かれし。元文五年冬の頃。歸依の白衆古澤氏等相 |
J18_0248A04: | 寄て。淺艸今戸といふところに艸庵を營構して。憩 |
J18_0248A05: | 息の處になしたまへと申ければ。師すなはち寄寓し |
J18_0248A06: | 獅子吼庵と名づけて。説法敎化せらる。門人阿仙。 |
J18_0248A07: | 縁山。一寮舍の主たりしが。師命して此庵に主たら |
J18_0248A08: | しむ。あるとし此庵にて。道俗に圓戒を授られし |
J18_0248A09: | に。前日晡時の頃にあたりて。一聚の光燈隅田川よ |
J18_0248A10: | り出て。しばらく浮漂し。とびきたり。庭なる榎樹 |
J18_0248A11: | にかかりて照耀せり。見る人。これ海龍の燈を獻ぜ |
J18_0248A12: | しならんと沙汰し申けり。 |
J18_0248A13: | 師芝濱源光寺にて唱導せられしに。貴賤往詣し。化 |
J18_0248A14: | に歸するもの數をしらず。此寺薩州太守の邸に隣近 |
J18_0248A15: | せり。淨岸院夫人および。その翁主。師の道風に歸 |
J18_0248A16: | し。日課念佛を誓約し。十念を受んことを望給ふとい |
J18_0248A17: | へども。國制に憚かりて。親しく面受を遂給ふこと |
J18_0248B18: | あたはず。しかるに師日日夫人の樓前を往還せら |
J18_0248B19: | る。此において夫人は。樓上にありながら師往還の |
J18_0248B20: | 途のつひでに。日課誓約の作法を受んと。紹介をも |
J18_0248B21: | て請ひ給ひけれども。師肎はずしていはく。およそ |
J18_0248B22: | 授受の法は。師は上にあり。受者は下にあるべきな |
J18_0248B23: | り。受者上に在り。師下に居ることを聞ず。すでに法 |
J18_0248B24: | にたがへり。我なにとして請に應ずべきぞと申され |
J18_0248B25: | ければ。夫人その言を感じ。侍女某を源光寺に來ら |
J18_0248B26: | しめ。代受させ給ひける。それより夫人歸依淺から |
J18_0248B27: | ず。御念佛怠りなく。つひに目出たき往生を遂たま |
J18_0248B28: | ひける。その翁主も宿因にやありけん。信敬もとも |
J18_0248B29: | あつかりしに筑前太守の家に嫁したまひても。歸敬 |
J18_0248B30: | 本のごとくにてぞありし。つひに寶曆十二年功德主 |
J18_0248B31: | として。獅子吼菴に不斷念佛を開白し給ひ。又師。 |
J18_0248B32: | 明和元年のころ。下谷安樂寺の廢を起さるるにおよ |
J18_0248B33: | びても大檀主となりたまひて。本尊殿堂房舍等こと |
J18_0248B34: | ごとく造立ありて。彼の不斷念佛をもここにうつさ |