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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0248A01: て請ぜられければ。師錫を東に飛し。彼等において
J18_0248A02: 説法せらる。又請を諸の寺院にうけ。處處に法筵を
J18_0248A03: 開かれし。元文五年冬の頃。歸依の白衆古澤氏等相
J18_0248A04: 寄て。淺艸今戸といふところに艸庵を營構して。憩
J18_0248A05: 息の處になしたまへと申ければ。師すなはち寄寓し
J18_0248A06: 獅子吼庵と名づけて。説法敎化せらる。門人阿仙。
J18_0248A07: 縁山。一寮舍の主たりしが。師命して此庵に主たら
J18_0248A08: しむ。あるとし此庵にて。道俗に圓戒を授られし
J18_0248A09: に。前日晡時の頃にあたりて。一聚の光燈隅田川よ
J18_0248A10: り出て。しばらく浮漂し。とびきたり。庭なる榎樹
J18_0248A11: にかかりて照耀せり。見る人。これ海龍の燈を獻ぜ
J18_0248A12: しならんと沙汰し申けり。
J18_0248A13: 師芝濱源光寺にて唱導せられしに。貴賤往詣し。化
J18_0248A14: に歸するもの數をしらず。此寺薩州太守の邸に隣近
J18_0248A15: せり。淨岸院夫人および。その翁主。師の道風に歸
J18_0248A16: し。日課念佛を誓約し。十念を受んことを望給ふとい
J18_0248A17: へども。國制に憚かりて。親しく面受を遂給ふこと
J18_0248B18: あたはず。しかるに師日日夫人の樓前を往還せら
J18_0248B19: る。此において夫人は。樓上にありながら師往還の
J18_0248B20: 途のつひでに。日課誓約の作法を受んと。紹介をも
J18_0248B21: て請ひ給ひけれども。師肎はずしていはく。およそ
J18_0248B22: 授受の法は。師は上にあり。受者は下にあるべきな
J18_0248B23: り。受者上に在り。師下に居ることを聞ず。すでに法
J18_0248B24: にたがへり。我なにとして請に應ずべきぞと申され
J18_0248B25: ければ。夫人その言を感じ。侍女某を源光寺に來ら
J18_0248B26: しめ。代受させ給ひける。それより夫人歸依淺から
J18_0248B27: ず。御念佛怠りなく。つひに目出たき往生を遂たま
J18_0248B28: ひける。その翁主も宿因にやありけん。信敬もとも
J18_0248B29: あつかりしに筑前太守の家に嫁したまひても。歸敬
J18_0248B30: 本のごとくにてぞありし。つひに寶曆十二年功德主
J18_0248B31: として。獅子吼菴に不斷念佛を開白し給ひ。又師。
J18_0248B32: 明和元年のころ。下谷安樂寺の廢を起さるるにおよ
J18_0248B33: びても大檀主となりたまひて。本尊殿堂房舍等こと
J18_0248B34: ごとく造立ありて。彼の不斷念佛をもここにうつさ

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