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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0245A01: もしくはこれ師の本意ならんかと。恐をかへりみ
J18_0245A02: ず。この言をそへぬ。
J18_0245A03: 陸奧國。常樂寺月泉禪師は。敎外の英徹。悟道の達
J18_0245A04: 士なり。門下にもまた泉了。默午などいへる高德あ
J18_0245A05: りて。芳名四方に聞えける。元より師の道化を。き
J18_0245A06: きおよばれしが。あるとき此燧囊を得て。熟讀せら
J18_0245A07: るる事數遍。ふかくその旨に歸し。まことに此書は
J18_0245A08: 末代長夜の燈明。衆生濟度の舟航なりとて。隨喜の
J18_0245A09: あまり。序文を制して遠くおくられける。
J18_0245A10: 元文二年夏のすゑ。師圓成寺をいでで。同州津島の
J18_0245A11: 會光庵に移り。いくほどなくて。同國六句の艸庵。
J18_0245A12: 或は三州黑瀨の放光寺なとに移住せらる。摠じて師
J18_0245A13: 一期の間。西方寺に住持せられし後は。さだまれる
J18_0245A14: 居處なく。縁にしたがひて止寓し。門人の住持せる
J18_0245A15: 寺院へ到りても。いつまで滯留せんといふ定なく。
J18_0245A16: 寺務にあづからず。繁をさけ。閑について行業を勵
J18_0245A17: むを先とせられき。また常課の稱號。先の勢州の願
J18_0245B18: 文には。三萬以上修せんと誓はれしかども。平常日
J18_0245B19: 日六萬以上。十萬をも修せられき。その稱佛字字分
J18_0245B20: 明にして。闕略あることなし。又師はじめのほど
J18_0245B21: は。多く佛前に詣でで念佛せられけるが。老年にい
J18_0245B22: たりては靜室にこもりゐて念佛し。また毎夜丑の剋
J18_0245B23: 過より。佛前に詣でで。閑に稱名せられき。無益の
J18_0245B24: 談話をきらひて。遁れがたき用事にあらざれば人に
J18_0245B25: 應對せず。聖敎を披閲し。法語名號等を書れける時
J18_0245B26: も。口に絶えず稱名せらる。又蜎飛蝡動の類を見。
J18_0245B27: あるひは道にて牛馬などに行逢れけるときも。かな
J18_0245B28: らず聲を勵し。念佛してすぎられき。又放生の魚鳥
J18_0245B29: など持來れば。生類は片時も早はなつべしとて。淨
J18_0245B30: 水を加持して。それを魚鳥にそそぎ。念佛回願して
J18_0245B31: 放されける。
J18_0245B32: 尾張國津島郷。伴氏父子ともに。師に歸依すること
J18_0245B33: 淺からず。師に投じて剃染せる尼衆を。一處に安住
J18_0245B34: せしめ。往生極樂の願行。堅固なることを得せしめ

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