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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0244A01: て〓やと。ふかく此道理を信知して。年來の疑慮。
J18_0244A02: 氷のごとくとけ。順次の往生。まことに手に物を取
J18_0244A03: 得たる心地して。身心安適になり。稱名ことにいさ
J18_0244A04: ましくおぼえける。玆において。あはれ誰誰をも。
J18_0244A05: かくやすらかに安心なさしめ。ともに往生の望をと
J18_0244A06: げんものをとおもひ。すなはち。子の剋より筆をと
J18_0244A07: りて。自己決心の趣を。寅の剋までに艸書し侍る。
J18_0244A08: 予また光明大師の敎に。所感の好相人に向て説くこ
J18_0244A09: とを制し給へる事をおもひ。すなはち。その艸稿を
J18_0244A10: 凾底におさめて。かつて人にかたらず。かくて年月
J18_0244A11: を經るほどに。いつしか同法の人人。此書あること
J18_0244A12: をしり。これをよみて稱名勇進の一助にせんと。強
J18_0244A13: て請ひ求めらる。ここにおいてわれまたおもへら
J18_0244A14: く。彼光明大師の。人に向て説ことを制し給へる
J18_0244A15: は。たた淨土の依正を感見するにつきてなり。わが
J18_0244A16: 所感の旨趣は。正しく往生の安心にあづかるなれ
J18_0244A17: ば。佛智これを世に傳へ。念佛往生の巨益。展轉し
J18_0244B18: て增多ならしめむことをほりし給ふにもやあらんか
J18_0244B19: と。つらつら此事をおもひて。遂にその求請に應じ
J18_0244B20: けり。有縁の緇素。これを讀て心を决し。行を起し
J18_0244B21: 益を得るもの多かりければ。更に一二の祖釋を引加
J18_0244B22: へ。訂正して二卷とし。刻板せりと語られき。され
J18_0244B23: ば師先に伊勢においても。種種感得のことありし趣
J18_0244B24: なれども。决定心はまだおこらざる事を。常になげ
J18_0244B25: きて勤られしゆゑに。此靈告を得て落居せられし
J18_0244B26: 歟。但し靈告によりて。决定せらるべくは。年來種
J18_0244B27: 種の感得あれども。或時は决定し。或時は决定せら
J18_0244B28: れずと。すでにみづから述られしをおもふに。これ
J18_0244B29: 靈告によるとはいへども。その實は因縁到來し。な
J18_0244B30: にとなく决定せられ侍るならん。さればこそ。師常
J18_0244B31: に好相靈夢をたのむものを呵して。ただ本願の念佛
J18_0244B32: こそと。すすめられし。乞願は。この鈔を信せん
J18_0244B33: 人。靈告を執して高く師に讓ることなく。ころりと
J18_0244B34: 决定せられしことを。近くわがみにひきうけ給へ。

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