浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0243A01: | にへだてず。唯南無阿彌陀佛と唱ふれば。決定往生 |
J18_0243A02: | の埓にいるなり。只申せば本願に乘じて。決定往生 |
J18_0243A03: | するぞと信じて。一期退轉なければ。終焉の引接た |
J18_0243A04: | がひなく。上品の往生決定なり等と。 |
J18_0243A05: | 以上は。師艸稿せられし時の。自筆の書をもて |
J18_0243A06: | 略出しぬ。ただし夾註は私にくはふる所なり。 |
J18_0243A07: | 師老後に此書の因由を語ていはく。予幼年の昔よ |
J18_0243A08: | り。ひたすら稱名し侍しゆゑ。おほかたに此度往生 |
J18_0243A09: | せんとはおもひしかど。なほややもすれば疑滯なき |
J18_0243A10: | にあらす。そのゆゑは。稱名烈しくすすみ。妄念す |
J18_0243A11: | べてやみ。隨分の感夢なども見侍る時には。往生 |
J18_0243A12: | も決定と思はるれども。或は病縁。或は世務さはり |
J18_0243A13: | をなして。日課をだにも自然とおこたる時には。往 |
J18_0243A14: | 生もいかがと。兎角機につきて思議し。あやぶむ心 |
J18_0243A15: | おこり。凡夫入報土の敎理。今少し鞵をへだてて癢 |
J18_0243A16: | をかく心地なりければ。常にただ此一事のみ劬勞 |
J18_0243A17: | に思ひしに。去ぬる元文二年の正月。別時念佛を修 |
J18_0243B18: | する第四日の夜。亥の剋ばかりとおぼゆるに。稱名 |
J18_0243B19: | 聲すみて攀縁すべてやみ。恍然として眠に似たり。 |
J18_0243B20: | 時に阿彌陀佛相好殊妙にして。空中に現しまのあた |
J18_0243B21: | り告給はく。凡夫念佛して極樂に往生することは。 |
J18_0243B22: | 大悲本願神變加持の秘術。不思議法爾の道理なり |
J18_0243B23: | と。予明かにこれを拜聽し奉り。歡喜身にあまり感 |
J18_0243B24: | 涙袂にみつ。予その時。凡入報土は。既に是本願大 |
J18_0243B25: | 悲の不思議。神變加持の秘術なれば。いかんぞ凡夫 |
J18_0243B26: | の心をもて。その旨趣を量りしるべきやと。豁然と |
J18_0243B27: | して今宗出離の故實を了得し。機情の解會ここにお |
J18_0243B28: | いて頓に除ぬ。年來はおのれが機につきて。とやか |
J18_0243B29: | く思議せしゆゑに。危ぶむこころのやまざりしに。 |
J18_0243B30: | 今本願を仰信すれば。げにもやすき往生なり。それ |
J18_0243B31: | 石をもて鐵に打合すれば。火必出づ。世間淺近の事 |
J18_0243B32: | すらなほかくのごとく。法爾自然の道理。不可思議 |
J18_0243B33: | なるものなり。いはんや深妙の佛法においてをや。 |
J18_0243B34: | ましていはんや。本願大悲。神變加持の秘術におい |