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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0242A01: ぞと。千萬年文殊の智惠をもて考るとも。更にその
J18_0242A02: 道理合點ゆくまじ。石と念佛鐵と本願打合せさへすれば
J18_0242A03: 火が出る往生ものと。疑ひあやしまぬが安心決定法爾の
J18_0242A04: 道理をしるといふべし。されば今彌陀の本願は。稱
J18_0242A05: 名をもて本願としたまへば。只南無阿彌陀佛と申せ
J18_0242A06: ば。決定して往生せらるるぞと信ずるが第一よきな
J18_0242A07: り。これ本願自然の道理なるを。いかなるゆゑあり
J18_0242A08: て往生するやらんと、千萬年を經て考へ百千の不審
J18_0242A09: をひらき。八萬の法門を明らむるともしるべから
J18_0242A10: ず。凡夫の報土往生することは。三賢十地の菩薩す
J18_0242A11: ら。なほはかりがたしとのたまへり。いはんやわれ
J18_0242A12: らごときの所知に及んや。ただ佛智不思議の妙願力
J18_0242A13: なれば。往生するはづと合點するまでのことなり。
J18_0242A14: 本願不思議の道理なれば。ただ南無阿彌陀佛と申せ
J18_0242A15: ば。極樂にゆくぞと思ひとりて。疑ひあやしまぬが
J18_0242A16: 本願に乘するとは申なり。正定之業と釋したまへ
J18_0242A17: ば。念佛者の極樂に往生せんことは。まさしき定業
J18_0242B18: としるべし。鐵をもて木を打に火出ず。石をもて木
J18_0242B19: を打に火いです。金銀をもて石を打に火いです。た
J18_0242B20: だ石と鐵となればよく火の出るなり。兎角われらご
J18_0242B21: ときの不斷煩惱の石は妄念中に唱る念佛本願の南〓鐵にあらざ
J18_0242B22: れば。法性無生の火は報土往生出ぬなり。三歳の小兒と
J18_0242B23: いへども。石と鐵と打さへすれば。火の出るやう
J18_0242B24: に。いかなる愚鈍無智といへども。南無阿彌陀佛と
J18_0242B25: だに唱ふれば。決定して往生するなり。本願に相應
J18_0242B26: せぬ。金銀瑠璃をもちかけて。火をとらんと勞する
J18_0242B27: ことなかれ。兎角石と鐵とにて火の出るが。自然不
J18_0242B28: 思議の道理なり。物の道理不可思議に妙なること
J18_0242B29: を。これはいかなるゆゑぞと。強て思議するを強思
J18_0242B30: 議の難とて。狂人の一分にて迷の根元なり。なにご
J18_0242B31: とにも法爾の道理。不思議奇妙といふことのあるも
J18_0242B32: のぞと。そのことことに合點して。疑ひあやしまぬ
J18_0242B33: を。決定心のある人といふべし乃至この本願名號は時
J18_0242B34: も處もえらびなく。身のけがれ心のみだるるもさら

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