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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0241A01: る好相に驚き。さては我こそとよろこび。又は感夢
J18_0241A02: などを貴く思ひ。或は日課の勇進せらるる日はうれ
J18_0241A03: しや往生こそ決定よと悅び。又は世事にさへられ。
J18_0241A04: 或は病縁にさへられて課佛を减する日は。やれ悲し
J18_0241A05: 助給へと念念ごとに思はれて。こはいかにも本願に
J18_0241A06: 乘ぜぬゆゑか。但し乘じたるやと。かく心のうかれゐ
J18_0241A07: たる時は。實に如來の本願あやまり給はずは。かな
J18_0241A08: らず助たまふものをと。おして打しづむる時もあ
J18_0241A09: り。或は佛像などの夢も月日隔ててたえだえなれ
J18_0241A10: ば。これまた身のあしさ心のととのはぬゆゑかと思
J18_0241A11: はれて。ややもすれば慙愧懺悔に意をとられ。時と
J18_0241A12: してわが身のよくなりたき事を念じ。心のととのへ
J18_0241A13: たき事を思ひ胸ぐるしければ。聲につきたる往生な
J18_0241A14: れば。夢にも好相にもよるまじき往生ぞと思ひなが
J18_0241A15: して念佛しける時もあり。また佛像にむかふ度ごと
J18_0241A16: にしきりに助給へと思はれて。たとき折にはさては
J18_0241A17: 殊勝なる佛像の德なりと思ひよりて。われもよき尊
J18_0241B18: 像を安置して。常に拜せばやなどまたたちかへりわ
J18_0241B19: づらはしくてやみぬ。兎角やみやみとして決定心の
J18_0241B20: たちがたきなり。しかあれとも本願に乘と乘らぬと
J18_0241B21: の譯。口には説きかせて他の人は决定心を發せど
J18_0241B22: も。ただわか意には落居せざりしに。何事も時節の
J18_0241B23: 來れば埓明ことにて侍るにや。今宵の只今こそ念佛
J18_0241B24: 者の報土往生することは。偏に本願不思議法爾自然
J18_0241B25: の道理なりと。なにとなくころりと决定せられ侍
J18_0241B26: る。これもげに多年唱へし御恩ぞと。心もやすく身
J18_0241B27: もかろかろと。御念佛も一入勇のつきたる心地し
J18_0241B28: て。一向口稱三昧に决定せられ侍る。しかも平日勸
J18_0241B29: 化の趣に少もたがひたるにはあらず。多年苦勞に思
J18_0241B30: ひしことの一時に決定せられければ。大歡喜のお
J18_0241B31: こりたる此うれしさを今一度のべ申べし。喩ば。石
J18_0241B32: と鐵と打合す時は。自然と火が出るなり。これ法爾
J18_0241B33: 自然の道理にて。いかなる故としられず。ただ石と
J18_0241B34: 鐵との天然不思議の妙なり。これをいかなる道理

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