ウィンドウを閉じる

J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0240A01: らんと思ふは。やがて別の心をなすにて。はや本願
J18_0240A02: にとほざかるなり。仰て本願をたのみ。一脈に南無
J18_0240A03: 阿彌陀佛と申て。別の心をなす事なかれ。もしまた
J18_0240A04: 別の心發りたりとも。やれ往生かなはじと思ふて。
J18_0240A05: 本願に遠ざかることなく。此時またおして。あああ
J18_0240A06: さましのわがこころかな。かくこざかしき心ゆゑ。
J18_0240A07: 曠劫以來つらき迷をなし。つたなき報を受しに。こ
J18_0240A08: りずも亦三惡の火坑にかへらんとて。如來大悲の本
J18_0240A09: 願に遠ざかることの悲しさよと。頭をたたき手を
J18_0240A10: 合。ただ一脈に念佛して。本願にもとづくべし乃至
J18_0240A11: 正直に他力本願を信じて。唯一向に念佛すべし。
J18_0240A12: 又いはく。實は凡夫の力にて。報土往生かなひがた
J18_0240A13: き事なり。されども本願に乘ずれば。凡夫そのまま
J18_0240A14: 上品往生することも。またまた至てやすきことなり
J18_0240A15: 乃至唯正直に本願を信受して唯一向に念佛すべし。
J18_0240A16: 又云。南無阿彌陀佛と唱るは。生死の關の王印な
J18_0240A17: り。南無阿彌陀佛と唱るは。安心なり起行なり。南
J18_0240B18: 無阿彌陀佛と唱る外に。安心なし起行なし乃至讃歎せ
J18_0240B19: んもいとおそろしき本願ぞかし。只ひたすらに仰信
J18_0240B20: して。前後左右のわけもなく。唯一向に念佛すべ
J18_0240B21: し。
J18_0240B22: 自得章云。南無阿彌陀佛と申せば。極樂に往生する
J18_0240B23: ぞと聞て。うらうらと思ひつき南無阿彌陀佛と唱へ
J18_0240B24: 居て往生を遂る人は。單直仰信の大機と申て。いと
J18_0240B25: も目出度不可説の行者なり。これ本願第一の機な
J18_0240B26: り。はや五劫思惟など本願のいはれを聞わくるは次
J18_0240B27: なり。しかるに予年來他事なく唯一向に稱名すれど
J18_0240B28: も。妄念むねにふたがり。拂ひかねたる時は。せこ
J18_0240B29: にこめられたる鹿とは。此事ぞと遠慮なく聲うちた
J18_0240B30: て南無阿彌陀佛と申ちらして其時をにぐるなり。し
J18_0240B31: かしながらぬる間も靜ならぬは妄念なり。常になが
J18_0240B32: るる川のごとくにてたえまはなきなり。南無阿彌陀
J18_0240B33: 佛と申せば。足のしたの水のふみきらるるやうに思
J18_0240B34: ひながすばかりなり。或時はかたばかりのやうな

ウィンドウを閉じる