浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0232A01: | ために衣食を减してわかち與へられき。更にまた依 |
J18_0232A02: | 止せんことを請ふものあれば。また隨從せんといふものあ |
J18_0232A03: | り。彼人をも同しく淨土へ誘はんと欲するを。衆もゆ |
J18_0232A04: | るされよとて入衆せしめ。たがひに助あひ麤を食ひ |
J18_0232A05: | 用を縮めて。その人にあたへてぞ勤めさせられける。 |
J18_0232A06: | 資糧しばしば乏しき時も。志操かつて變ぜず。一針 |
J18_0232A07: | 一草も檀信を募ることなく。日日隨從の衆とともに村 |
J18_0232A08: | 里に分衞して。淸淨に自活せらる。食もし餘長ある |
J18_0232A09: | 時は。其村の小兒または貧窮のものを招きあつめこ |
J18_0232A10: | れを食せしめ。食後にはかならず線香一炷づづ念佛 |
J18_0232A11: | を唱へさせ。をはりには因果のおそるべき謂。念佛 |
J18_0232A12: | のありがたきこと。世の無常なることはりなど。實を |
J18_0232A13: | 盡しいと慇懃に説聞せらるること常なりしかば。中 |
J18_0232A14: | 一色村の者は。菽麥不辨の童男童女の類までも悉く |
J18_0232A15: | 因果を信じて深く惡事を恐れ。蟬蟀を翫び蝱蠅を殺 |
J18_0232A16: | すなどのことはすべてなさざりし。もしたまたまこれ |
J18_0232A17: | をなすものあれば。西方寺に往て師に告んといへば |
J18_0232B18: | 皆おそれ愼みける。かくたがひに誡あひければ殺生 |
J18_0232B19: | の業おのづから止みて。戯れにも草木泥土をあつめ |
J18_0232B20: | て佛像堂宇を造り。繩を結て集會念佛の眞似をなし |
J18_0232B21: | ぬ。また此村の近邊に江河あまたありければ好て殺 |
J18_0232B22: | 生する人も多かりけるに。師その人を見る毎に寺に |
J18_0232B23: | 招きて。殺生の罪の重こと報のおそろしき現證など説 |
J18_0232B24: | 聞せ。かまへて殺生をやめ念佛せよといとこまやか |
J18_0232B25: | に勸誡し。或は其人に價を與へて取得たる魚鳥を放 |
J18_0232B26: | たせ。またそれを世わたる業となす者には。財を與へ |
J18_0232B27: | て其業を變さしめなどせられけるゆゑ。いかなる強 |
J18_0232B28: | 惡邪見の輩も後には慚愧の心を生じ。殺具をことこと |
J18_0232B29: | く燒捨てかたく殺生をやめまた後には肉食をも止る |
J18_0232B30: | にいたるものもあり。これによりて其頃は魚鳥を商 |
J18_0232B31: | ふもの。村の中を往來することさへなきに至り。唯 |
J18_0232B32: | 少長ともに惡事をなすを耻辱とし。一邑擧りて往生 |
J18_0232B33: | を願ひ念佛を勵み勤ることにぞなりにける。師かく |
J18_0232B34: | のごとく行相勵しかりけるゆゑ。隨從の僧も隨ひて勇 |