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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0231A01: 觀經に上品上生。即悟無生と説たまへり。無生はこ
J18_0231A02: れ初地の位なれば。内に法身を證し。外には身を百
J18_0231A03: 億に別とかや。今上人佛身を現じたまふは。上品得
J18_0231A04: 生の驗と。いと貴くぞ侍る。
J18_0231A05: 同し頃西方寺の現住。潮雅和尚。他處へ移轉のことあ
J18_0231A06: り。これによりて檀越等。師に席を董せんことを請
J18_0231A07: ければ。師のいはく。凡寺務にあづかるものは檀越
J18_0231A08: に應接し。堂宇修營をなす。此二事一を關ても住持
J18_0231A09: の任にあらず。予は本より此事に堪へずして隱遁せ
J18_0231A10: るものなり。強て予をして住持せしむる時は。寺門
J18_0231A11: 衰廢におよばんこともはかりがたし。もし荒廢に及と
J18_0231A12: も。檀越等少しも恨ることなきの證書を持來らば住持
J18_0231A13: すべし。左なくば請に應しがたしと。會釋し申され
J18_0231A14: しかば。檀越等師の道意を感じ。連署の印證したた
J18_0231A15: め來りしかば。師すなはち住持せられける。これ檀
J18_0231A16: 越の請に應ぜられしなれども。其實は師範の遺屬を
J18_0231A17: まもられけるなり。師此寺に移りても隱操本のごと
J18_0231B18: くにして。冬は絮衣一領。木綿の綴衲一領。此外に
J18_0231B19: 衣類餘長をたくをふることなし。春去り夏來れは木綿
J18_0231B20: の直綴を布にかへ。秋に移り冬になれば。また夏の
J18_0231B21: 衣服を悉く施されける。また一切の資具蠶絹を用ひ
J18_0231B22: られさりき。常に綴衲を著て。二便或は洗浴の時に
J18_0231B23: あらざれば脱せられず。晝夜不臥なれば臥具のたく
J18_0231B24: はへもなく。まことに念念不捨に稱名し。六時勤行に
J18_0231B25: は至誠に聲を勵し。體をせめて念佛せらる。ある年一
J18_0231B26: 夏の間。勇猛を加へて。高聲念佛晝夜をすてず勤ら
J18_0231B27: れけれは。眼かすみ腫塞りてつひに見えざるほどに
J18_0231B28: なりしかども醫療を加ふることさへなくて。ますます
J18_0231B29: 精進せられけるに。自然と眼光明らかに快復した
J18_0231B30: る。こののちは身心堅固にして。少病少惱もなかり
J18_0231B31: しとなむ。
J18_0231B32: 師。かく人事にかかはらず修行せられしが。德孤な
J18_0231B33: らず遂に座下に來り依止して敎をうけ。道業を修す
J18_0231B34: るもの十餘輩に及へり。寺本より檀資うすければ。師

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