浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0231A01: | 觀經に上品上生。即悟無生と説たまへり。無生はこ |
J18_0231A02: | れ初地の位なれば。内に法身を證し。外には身を百 |
J18_0231A03: | 億に別とかや。今上人佛身を現じたまふは。上品得 |
J18_0231A04: | 生の驗と。いと貴くぞ侍る。 |
J18_0231A05: | 同し頃西方寺の現住。潮雅和尚。他處へ移轉のことあ |
J18_0231A06: | り。これによりて檀越等。師に席を董せんことを請 |
J18_0231A07: | ければ。師のいはく。凡寺務にあづかるものは檀越 |
J18_0231A08: | に應接し。堂宇修營をなす。此二事一を關ても住持 |
J18_0231A09: | の任にあらず。予は本より此事に堪へずして隱遁せ |
J18_0231A10: | るものなり。強て予をして住持せしむる時は。寺門 |
J18_0231A11: | 衰廢におよばんこともはかりがたし。もし荒廢に及と |
J18_0231A12: | も。檀越等少しも恨ることなきの證書を持來らば住持 |
J18_0231A13: | すべし。左なくば請に應しがたしと。會釋し申され |
J18_0231A14: | しかば。檀越等師の道意を感じ。連署の印證したた |
J18_0231A15: | め來りしかば。師すなはち住持せられける。これ檀 |
J18_0231A16: | 越の請に應ぜられしなれども。其實は師範の遺屬を |
J18_0231A17: | まもられけるなり。師此寺に移りても隱操本のごと |
J18_0231B18: | くにして。冬は絮衣一領。木綿の綴衲一領。此外に |
J18_0231B19: | 衣類餘長をたくをふることなし。春去り夏來れは木綿 |
J18_0231B20: | の直綴を布にかへ。秋に移り冬になれば。また夏の |
J18_0231B21: | 衣服を悉く施されける。また一切の資具蠶絹を用ひ |
J18_0231B22: | られさりき。常に綴衲を著て。二便或は洗浴の時に |
J18_0231B23: | あらざれば脱せられず。晝夜不臥なれば臥具のたく |
J18_0231B24: | はへもなく。まことに念念不捨に稱名し。六時勤行に |
J18_0231B25: | は至誠に聲を勵し。體をせめて念佛せらる。ある年一 |
J18_0231B26: | 夏の間。勇猛を加へて。高聲念佛晝夜をすてず勤ら |
J18_0231B27: | れけれは。眼かすみ腫塞りてつひに見えざるほどに |
J18_0231B28: | なりしかども醫療を加ふることさへなくて。ますます |
J18_0231B29: | 精進せられけるに。自然と眼光明らかに快復した |
J18_0231B30: | る。こののちは身心堅固にして。少病少惱もなかり |
J18_0231B31: | しとなむ。 |
J18_0231B32: | 師。かく人事にかかはらず修行せられしが。德孤な |
J18_0231B33: | らず遂に座下に來り依止して敎をうけ。道業を修す |
J18_0231B34: | るもの十餘輩に及へり。寺本より檀資うすければ。師 |