浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0223A01: | ず。若實に淨土の生るべきあらばわれ念佛を唱へて |
J18_0223A02: | 往生せん。師われを殺したまはれと乞ふ。師答て汝 |
J18_0223A03: | 急て念佛せよ我汝を殺んといひて。空山が兩手をと |
J18_0223A04: | り聲を勵して南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛と申かけらる。空山 |
J18_0223A05: | も相和して六七十遍唱へけるに。忽颯風の塵雲を拂 |
J18_0223A06: | ふごとく。病苦悉く除盡して身も心も安適になり |
J18_0223A07: | ぬ。それより前非を悔ひ偏に往生をねがひ勇み進て |
J18_0223A08: | 念佛す。師傍に座して助音せられけるが。暫くあり |
J18_0223A09: | て稱名の聲とともに息絶けり。ここにおいて人人本 |
J18_0223A10: | 願念佛の貴きことを知り。又師の道心堅固なることをも |
J18_0223A11: | 感じいよいよ念佛に歸するもの多かりける。後に師 |
J18_0223A12: | われ長島にて空山臨終の知識たりしこれ化益の最初 |
J18_0223A13: | なり。自行策勵の一助なりしとなん。をりをり語り |
J18_0223A14: | 申されし。是より後道譽遠近に聞えければ。同國南 |
J18_0223A15: | 北の諸寺院。師を請して説法せんことをねがひけ |
J18_0223A16: | り。師求に應して專修念佛を勸進せらるるに化に隨 |
J18_0223A17: | もの日日に多かりし。しかるに師の意樂として建立 |
J18_0223B18: | 等の餘善を勸ず。檀施を貪ることをかたくいましめ。 |
J18_0223B19: | 念佛の數遍をすすめて一念の謬解を破せられける。 |
J18_0223B20: | 師或時思熟すらく。夫生死甚だ厭がたく佛法實に値 |
J18_0223B21: | 難し。然に自行かたからざるに化他を事とすれば。 |
J18_0223B22: | 凡夫の習ややもすれば名利にひかれ境縁に轉ぜられ |
J18_0223B23: | て正念を失はんとす。若冥の覆護を乞ひ加祐を蒙る |
J18_0223B24: | にあらすは。なにそよく内外の障縁に克て。始終丈 |
J18_0223B25: | 夫の志しを立ることを得んと。ここにおいて光岳寺を |
J18_0223B26: | も辭し。照譽上人および父母にことのよしを申て許を |
J18_0223B27: | 受け。同國山田越阪の惣通寺に止寓し。一百日を期 |
J18_0223B28: | して内外の兩宮へ素足にて日參せられぬ。日毎に彌 |
J18_0223B29: | 陀の名號十遍を書して神前に奉り。かつ心を籠て念 |
J18_0223B30: | 佛し。正念退失せず實行成就せんことを祈請し申され |
J18_0223B31: | ける。およそ風雨雪霰の時といへども怠りなく。往 |
J18_0223B32: | 來威儀を繕はず勵聲念佛して身心をせめ。慇懃に祈 |
J18_0223B33: | 願せられける故にや。神應響のごとく道念日日に增 |
J18_0223B34: | 起しけり。これよりますます精進を加へ日夜の別な |