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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0223A01: ず。若實に淨土の生るべきあらばわれ念佛を唱へて
J18_0223A02: 往生せん。師われを殺したまはれと乞ふ。師答て汝
J18_0223A03: 急て念佛せよ我汝を殺んといひて。空山が兩手をと
J18_0223A04: り聲を勵して南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛と申かけらる。空山
J18_0223A05: も相和して六七十遍唱へけるに。忽颯風の塵雲を拂
J18_0223A06: ふごとく。病苦悉く除盡して身も心も安適になり
J18_0223A07: ぬ。それより前非を悔ひ偏に往生をねがひ勇み進て
J18_0223A08: 念佛す。師傍に座して助音せられけるが。暫くあり
J18_0223A09: て稱名の聲とともに息絶けり。ここにおいて人人本
J18_0223A10: 願念佛の貴きことを知り。又師の道心堅固なることをも
J18_0223A11: 感じいよいよ念佛に歸するもの多かりける。後に師
J18_0223A12: われ長島にて空山臨終の知識たりしこれ化益の最初
J18_0223A13: なり。自行策勵の一助なりしとなん。をりをり語り
J18_0223A14: 申されし。是より後道譽遠近に聞えければ。同國南
J18_0223A15: 北の諸寺院。師を請して説法せんことをねがひけ
J18_0223A16: り。師求に應して專修念佛を勸進せらるるに化に隨
J18_0223A17: もの日日に多かりし。しかるに師の意樂として建立
J18_0223B18: 等の餘善を勸ず。檀施を貪ることをかたくいましめ。
J18_0223B19: 念佛の數遍をすすめて一念の謬解を破せられける。
J18_0223B20: 師或時思熟すらく。夫生死甚だ厭がたく佛法實に値
J18_0223B21: 難し。然に自行かたからざるに化他を事とすれば。
J18_0223B22: 凡夫の習ややもすれば名利にひかれ境縁に轉ぜられ
J18_0223B23: て正念を失はんとす。若冥の覆護を乞ひ加祐を蒙る
J18_0223B24: にあらすは。なにそよく内外の障縁に克て。始終丈
J18_0223B25: 夫の志しを立ることを得んと。ここにおいて光岳寺を
J18_0223B26: も辭し。照譽上人および父母にことのよしを申て許を
J18_0223B27: 受け。同國山田越阪の惣通寺に止寓し。一百日を期
J18_0223B28: して内外の兩宮へ素足にて日參せられぬ。日毎に彌
J18_0223B29: 陀の名號十遍を書して神前に奉り。かつ心を籠て念
J18_0223B30: 佛し。正念退失せず實行成就せんことを祈請し申され
J18_0223B31: ける。およそ風雨雪霰の時といへども怠りなく。往
J18_0223B32: 來威儀を繕はず勵聲念佛して身心をせめ。慇懃に祈
J18_0223B33: 願せられける故にや。神應響のごとく道念日日に增
J18_0223B34: 起しけり。これよりますます精進を加へ日夜の別な

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