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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0222A01: せられよと。強く佛法を謗り巧に儒敎を讃説す。空
J18_0222A02: 山病苦に迷亂しけるにや。忽其語に隨ひて願生のお
J18_0222A03: もひを斷念佛を止しが。其より病苦增增つのりて惱
J18_0222A04: 亂逼迫す。諸神にいのり種種の祕符を拜服すれども
J18_0222A05: すこしも其驗なく。泣喚し輾轉せるありさまみるも
J18_0222A06: 怖しければ。看侍の者も悉く逃去ける。ここにおい
J18_0222A07: て家人師の許にいたり。僞て空山重病を受け臨終も
J18_0222A08: 近にあり師を請し十念を拜受せんことを欲す願は來
J18_0222A09: りて臨終の知識となりたまへとこふ。師直に彼家に
J18_0222A10: 到られしに。空山師を見ていはく。われ年來常に佛
J18_0222A11: 道を信し心を盡して念佛せしに其驗すこしもなく今
J18_0222A12: 猛苦を受。これ御房に誑惑せられたるなりとて種種
J18_0222A13: 惡口をもて罵りければ。師却て慈悲心を發し。先佛
J18_0222A14: 前にいたり如來の加護力を請ひ。慇懃に熾盛の誓言
J18_0222A15: をなし。それより空山が枕のもとに座して十念を授
J18_0222A16: られしに。曾てこれを受ずしていふやう。日頃勤し
J18_0222A17: さへ口惜くおもふに此期におよびて何ぞ念佛を唱べ
J18_0222B18: きやとてうけがはず。師直に高聲に呵ていはく。汝
J18_0222B19: 空山。病は是宿業の所感なり佛もいかにともし給ふ
J18_0222B20: ことあたはず。又日頃眞實に念佛せし者。難病に罹り
J18_0222B21: 臨終にたへがたき苦痛を受ことは。轉重輕受とて未來
J18_0222B22: 地獄に墮して永劫大苦をうくべきを。生前暫時の病
J18_0222B23: 苦にかへて罪業の重き報を輕く受果すこともあるな
J18_0222B24: り。念佛したるもの必極樂に生ずるといふことは如來
J18_0222B25: の金言なり。汝眞實の志あらば。此世の病苦さへかく
J18_0222B26: 苦く堪へがたきに。地獄の重苦はいかがあらんとお
J18_0222B27: もひていよいよ如來の大悲をかこちて念佛すべき道
J18_0222B28: 理なるに。平生には念佛を唱へ。今命終の期に臨て
J18_0222B29: 邪見を發し念佛をやめ。みづから地獄に入らんとす
J18_0222B30: 豈愚昧の至にあらずや。われ汝をして臨終正念なら
J18_0222B31: しめ往生させんために來れり。汝若念佛せずは設ひ
J18_0222B32: 身命を捨とも歸らじと。或は呵し。或は勸められけ
J18_0222B33: れは。空山いはく。我今重病身に縛て苦痛たへがた
J18_0222B34: し。早く死せんことを願。曾て生ながらへんことを欲せ

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