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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0224A01: く念佛し。又寒林の髑髏を庭前に布置して心行を策
J18_0224A02: 勵せられける。昔惠心の先德增賀聖などいふ高僧達
J18_0224A03: も。此御神に道心を祈りまのあたり示現を蒙りたま
J18_0224A04: ひしこともあれば。とりわき師も懇志をはこばれける
J18_0224A05: にこそ。
J18_0224A06: 此頃同國明星の邊に。閑に行ひすましてゐたまひけ
J18_0224A07: る天台の大德瑱啓といへるいと老たる聖あり。師あ
J18_0224A08: る時その幽棲を訪はれしかば。かの聖師を見ていは
J18_0224A09: く。御房は孤獨にて終るべからず。必衆を領し大法
J18_0224A10: を起すべき卓出の器量ある人なり。法華にも勇猛精
J18_0224A11: 進名稱普聞と説れたり。先速に隱遁し其所修の行精
J18_0224A12: 進ならば其益大なるべし。自行堅固ならざれは人を
J18_0224A13: 益するによしなし。なにそ虚く光陰を費すや。なに
J18_0224A14: ぞとく勤ざるやと。容を改め色を變じて嚴しく勸誡
J18_0224A15: せられければ。師深く其旨に伏し謝辭を述てぞ歸ら
J18_0224A16: れける。此聖の勸誡夙志にかなふゆゑいよいよ隱遁
J18_0224A17: の心切なりしかば。享保十一年の春惣通寺をも辭
J18_0224B18: し。同し山田の越阪寺町欣淨寺の北の邊りに總持寺
J18_0224B19: とて閑寂の艸庵あり。これこそ道を修するに宜しけ
J18_0224B20: れとて獨住籠居し。ここにおいて身心を凝し。晝夜
J18_0224B21: 聲を勵して念佛懈ることなく。三昧發得を期して勇猛
J18_0224B22: に勤修せられけり。三日に一度粥を喫し。七日に一
J18_0224B23: 度飯を喫す。故に形は枯木のごとく二便もなきに同
J18_0224B24: し。身心輕安にして數月浴せざれども肌膚更に垢汚
J18_0224B25: なかりしとなん。
J18_0224B26: かく不斷に勇進念佛せられし中に。殊更に七日七夜
J18_0224B27: 堅く睡眠を除き。法のごとくにして百萬遍を成滿せ
J18_0224B28: られしことも兩度なりける。此時に臨て深重の誓願を
J18_0224B29: 建て自利利他の志操を堅くせらる。其願文及感得等
J18_0224B30: のことを自記し。一期かたく封じて秘し置れけり。其
J18_0224B31: 記にいはく。
J18_0224B32: 自行發願文
J18_0224B33: 歸命敬白 大慈大悲 超世願王 阿彌陀佛
J18_0224B34: 敎主釋尊 證誠諸佛 觀音勢至 極樂聖衆

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