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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0218A01: 兼戒の要義を問ひ。更に一萬聲を增受せられける。
J18_0218A02: それより後はことに寸陰をおしみて。もはら宗書を
J18_0218A03: 學びかたはらに他宗の書を探り。別して撰擇集勅修
J18_0218A04: 御傳および語燈錄などを熟讀して。大師淨土宗を建
J18_0218A05: たまふ根基。口稱念佛凡入報土の一事にあることを
J18_0218A06: 解知せられける。所解實を踐ていよいよ名利を厭心
J18_0218A07: ふかく學業間なしといへども。曾て日課の稱號懈怠
J18_0218A08: なかりし
J18_0218A09: 師縁山に寓止せらるること十三年學道修熟し。又僧
J18_0218A10: 宦の期もきたりければ。照譽上人の許より歸國のこ
J18_0218A11: とを促し玉ひしかば。享保八年の春二十八歳にして
J18_0218A12: 尾陽にかへられける途中。相州箱根山の嶮岨を越る
J18_0218A13: とて。溪聲廣長舌山色淸淨身の古語もをもひ出し。
J18_0218A14: しばらく岩石に疲を息ひ。ここにおいて思惟せらる
J18_0218A15: るに。六趣の輪環あたかも關のごとく執持名號實に
J18_0218A16: 符券のごとし。それ衆生ありて本願念佛の符券を持
J18_0218A17: し西方極樂の都城にいたらんと欲するに。道として
J18_0218B18: 礙ところなく關として通らすといふことなし。我ね
J18_0218B19: がはくは念死念佛日夜相續して退失せず。つひに南
J18_0218B20: 無阿彌陀佛の符券をもて容易く死關を通ことを得ん
J18_0218B21: と。頓に關通と自稱せらる。後照譽上人の許可を得
J18_0218B22: てもはら此諱を稱せられける。
J18_0218B23: 師それより洛東華頂山に登り。宗例によりて 賜香
J18_0218B24: の 天章を拜受し。官事をはりて竊におもはれける
J18_0218B25: は。不肖關東修學の日。我大師の傳を拜閲し感激せ
J18_0218B26: ることありて。永く世累を遁れ二利を成就せんこと
J18_0218B27: をねがへり。然ばこれより跡を一處に定めず遊方せ
J18_0218B28: んと。賜ところの 天章を人に託して師範の許に贈
J18_0218B29: り。直に畿内近國を行脚し繫著なく行業をはげみ勤
J18_0218B30: られける。此頃のことにやありけん。洛東照臨庵の
J18_0218B31: 靈潭和上に謁して菩薩戒を重受せられける。
J18_0218B32: 師同年の秋大和國に趣き。ここかしこ巡行の序に。
J18_0218B33: 關東學林の舊友にてありける僧。みなひ村常念寺と
J18_0218B34: いふに住持し居けるを訪はれけり。この寺たまたま

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