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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0216A01: き。つひに剃度授戒の法式をなし。且歎じていは
J18_0216A02: く。汝少年にしてはやく佛門に歸し。その發心尋常
J18_0216A03: ならず。これ宿世において。元敎を受たることあり
J18_0216A04: し故。生れながらにして眞實の道を。知れるものな
J18_0216A05: るべしとて。すなはち其名を與へて元敎とぞよばれ
J18_0216A06: ける。むかしより此寺につたはりて。なに天ともわ
J18_0216A07: かちがたき。天王の像あり。師ひそかに其像を拜し
J18_0216A08: て。道學成就しつひに化益四海にみち。廣く衆生を
J18_0216A09: 濟度することを得せしめたまへと。至心に祈願し。
J18_0216A10: 又みづから筆をとりて。直に其像の背に。吾を日本
J18_0216A11: 一の出家と。なしたまへと。書記さる。ここにおい
J18_0216A12: て人人。師の出生佛誕生の日なりし事をいひ出し。
J18_0216A13: 尋常の人にあらずとなん申ける
J18_0216A14: 照譽上人。師の聰敏にして。はやく道念を發せるこ
J18_0216A15: とを。驚歎してことに意を加へて。學業を勸策し。
J18_0216A16: 師をして十四歳の冬。增上寺に通籍せしめられけ
J18_0216A17: り。其のち寶永八年の春。正しく關東におもむかる
J18_0216B18: るの日。示していはく彼三縁山は。龍象の集るとこ
J18_0216B19: ろにして。昔の南都北嶺にも耻ざる。我宗の敎黌な
J18_0216B20: り。衆も既に三千に滿れは。切磋琢磨學業日あらず
J18_0216B21: して。成就せん。しかりといへども出家の本意唯出
J18_0216B22: 離生死の。一大事を要とす。敢て名をうり利をもと
J18_0216B23: むるにあらず。名利を捨ずば。たとひ學業功成て。
J18_0216B24: 名天下に振とも。予が本意とするところにあらず。
J18_0216B25: 汝此ことを忘れず。愼みて行ひ勉べしと。慇懃に敎
J18_0216B26: 誨せられければ。師ふかく其旨を領承せらる。すな
J18_0216B27: はち其趣きを手づから書して。餞したまふ其辭にい
J18_0216B28: はく
J18_0216B29: 送弟子元敎序
J18_0216B30: 今玆寶永辛卯季春小子元敎。欲遊學于關東也。
J18_0216B31: 戴笠負包。既而出門。於是追告之曰。小子受
J18_0216B32: 予剃度提誨有年。羽翊漸成今將遠翔乎叢林。予
J18_0216B33: 一言以餞別俾汝得終身服膺而有餘者也。夫學也
J18_0216B34: 者非汲汲以務爲名爲利之謂。只是上求菩提下化

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