浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0132A01: | に滿つ。世禮法話しかしかの事おはりて。良聲上人 |
J18_0132A02: | 申されしは。君生來道心堅固にして。念佛功積り。 |
J18_0132A03: | 運心年久しけれは。此度上品往生疑ひあるべからず |
J18_0132A04: | と。外にてもいと羡しく存する也と。師申さるるや |
J18_0132A05: | う。不思議の因縁を以て。數萬の人を敎化し。此度 |
J18_0132A06: | 淨土に罷り歸り候事。本懷これに過き候はずと。師 |
J18_0132A07: | の沒後に。良聲上人深くこの語を感じ。權化のおの |
J18_0132A08: | づから密因を洩されけるにやと。貴ひ申されける |
J18_0132A09: | 一同日の夜。師申されけるは。われこの度の病必死 |
J18_0132A10: | と思ひ定むといへとも。凡情の習ひ疑念殘らざるに |
J18_0132A11: | あらず。又看侍の者も。其程一定し難し。こよひ聖 |
J18_0132A12: | 〓を以て。佛意を伺ひ奉らんと。門人蓮心に命じ |
J18_0132A13: | て。快氣必死の二鬮を作らしむ。是を佛前に置き。 |
J18_0132A14: | 暫く念佛して御鬮を申降し。師の枕許に持參しける |
J18_0132A15: | に。師すなはち合掌心念し。しばしありて。二鬮の |
J18_0132A16: | 中一箇を取りて披き見られければ。必死の御鬮なり |
J18_0132A17: | けり。師悅ひの氣色甚しく。迚の御慈悲に。今一度 |
J18_0132B18: | 申降して。いよいよ往生を決定すべしと。暫く心念 |
J18_0132B19: | して取られけるに。又必死の御鬮なり。師ますます |
J18_0132B20: | 感悅せられ侍りき |
J18_0132B21: | 一同廿八日の朝。師又蓮心を召て仰せけるは。此度 |
J18_0132B22: | 往生を遂るに付て。猶又死期の延促をも。御鬮にて |
J18_0132B23: | 伺ひ度おもふなり。年内か明る正月の中。上旬中旬 |
J18_0132B24: | 下旬か。この四箇の御鬮を造りて。昨夜の如くし |
J18_0132B25: | て。佛前に捧ぐべしとありければ。畏りて領承し。 |
J18_0132B26: | すなはち御鬮を申降して師に奉りける。兩度とられ |
J18_0132B27: | けるに。兩度ながら年内といふ御鬮なりけり。仍て |
J18_0132B28: | 俄かに臨終の道塲を構へ。兼て命ぜられし如く。終 |
J18_0132B29: | 焉の方軌一一にこれを調へ。頭北面西にして五色の |
J18_0132B30: | 糸を佛の御手に懸け。心口相應し。聲聲絶る事なく |
J18_0132B31: | 念佛せられけり。然るに師の往生正月二日なりける |
J18_0132B32: | に。兩度まで年内の御鬮おりし事は。死期を近く思 |
J18_0132B33: | ひ取りて。油斷なく稱名相續せしめんとの冥慮の方 |
J18_0132B34: | 便なるべしとぞ。申しあひける。師ことさら病苦も |