浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0133A01: | なかりけれは。心の儘に晝夜間斷なく稱名相續せら |
J18_0133A02: | る看病の者代る代る助念するに。助音は疲るといへ |
J18_0133A03: | ども。師の稱名は猶も勇猛なりける。稱名の度ごと |
J18_0133A04: | に助給への詞を唱へらるる事切なり。時時高聲に極 |
J18_0133A05: | 重惡人。無他方便。唯稱彌陀。得生極樂の文を誦 |
J18_0133A06: | じ。或は佛の大慈悲を以て。此度兎にも角にも助給 |
J18_0133A07: | へと申されし事頻なり。同日午の刻過る頃。師厭求 |
J18_0133A08: | 蓮心の二人を召て告て云。われ今しばらく眠りたる |
J18_0133A09: | 内に西方淨土に到りぬ。淨土の莊嚴を拜見し。一期 |
J18_0133A10: | の大願を成滿し侍る悅ひ。喩を取るに物なし。その |
J18_0133A11: | 所見の相は。具に述べからず。一一經説の如く。少 |
J18_0133A12: | も違ふことなし。なむぢら毛頭も疑ひを殘すことなかれ |
J18_0133A13: | と。心中に深く感ぜらるる樣なり。二人の者思ふや |
J18_0133A14: | う。師今に於ては。萬事懶くおぼしめすらめども。 |
J18_0133A15: | 此度尋ね奉らすむは。後殘念なるべしと。すなはち |
J18_0133A16: | 師に問ひ奉る。淨土の莊嚴は。いかやうに候やと。 |
J18_0133A17: | 師いはく。宮殿樓閣は。皆金銀を以て成じ。七寶莊 |
J18_0133B18: | 嚴のまき柱。言語の及ぶ所にあらず。地は悉く金色 |
J18_0133B19: | にて輭かなり。履む時は窪み入ること四寸なり。わ |
J18_0133B20: | れいまだ此身を捨ずして。早く淨土の莊嚴を見奉る |
J18_0133B21: | こと。生前の大慶何事か。これにしかんと。頻に歡喜 |
J18_0133B22: | の涙を落され侍る。同日の夜。門人に命じて。靜か |
J18_0133B23: | に十樂の和讃を唱へしめ。悉く聞き畢りて感嗟せら |
J18_0133B24: | れき。師所勞增氣してより以來。耳目すこしく矇眛 |
J18_0133B25: | にして。聲をきく物を見らるる事も。明了ならず。 |
J18_0133B26: | 廿八日臨終の道塲に入れし後は。二根明利なること平 |
J18_0133B27: | 日にたがはず。みな不思議の想を。なして悅びあへ |
J18_0133B28: | り |
J18_0133B29: | 一同廿九日。日ごろ法化を蒙りし。篤信の道俗。師 |
J18_0133B30: | の終焉近づき給ふよし傳聞きて。をのをの末期の慈 |
J18_0133B31: | 容を拜して最初の引接に預らんと。遠近踵を繼て玆 |
J18_0133B32: | に來集せり。師衆に對して永訣を述べ。此度生涯の大 |
J18_0133B33: | 望を成就して。先達て往生を遂るなりをのをのに |
J18_0133B34: | も隨分念佛退轉なくして。跡より往生を遂らるべ |