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J2660 無能和尚行業記 宝洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0131A01: 殘多き心あるべし。然るに師ふかく隨喜の泪を落さ
J18_0131A02: れし事。正見の内に逼りて。其色の外に顯はれける
J18_0131A03: と。いと貴ふとし。世に一等の專修者ありて。一向
J18_0131A04: 專修を勸むる本意を察せず。動すれば。餘佛餘敎を
J18_0131A05: 輕しめ奉り。他門の行人をば讐敵の如く。思ひなす
J18_0131A06: 類ひ。往往にあり。これゆゆしき邪執の者なり。何
J18_0131A07: ぞ佛意に叶はんや。愼むべし恐るべし。夫しばらく
J18_0131A08: 專修の門に向ふの日。諸行を雜修すれは。心散漫し
J18_0131A09: て。一行成じがたし。故に餘行を閣く所なり。元祖
J18_0131A10: 大師の宣はく。餘行をするをこそ嫌へ。念佛を妨ぐ
J18_0131A11: れはなり。功德を捨ばこそ。往生の因となるがゆへ
J18_0131A12: にと向阿要略鈔されば觀經九品の中上六品はことごとく
J18_0131A13: 諸行往生を明せり。其うへ龍樹菩薩は。爲衆説法無
J18_0131A14: 名字と釋し給ひて。彌陀尊淨土に於て。聖衆の爲に
J18_0131A15: 無名字の法を説給ふといへり。これすなはち。般若
J18_0131A16: の空理。維摩不二の法門なるべし。又觀經の所説に
J18_0131A17: よれは觀音勢至淨土に於て。下品生の人の爲に。大
J18_0131B18: 乘甚深の經典を説き。諸法實相除滅罪の法を説て。
J18_0131B19: これを聞かしめ給ふとあり。これまさしく。花嚴大
J18_0131B20: 品大集法花涅槃等の究竟大乘の法門ならずや。然れ
J18_0131B21: ば西方の行人。なんぞ三尊所説の法理を。輕しむべ
J18_0131B22: けんや。無住禪師の云。すべて萬行一門なり。心を
J18_0131B23: 得て行ずれば。佛意に叶ふといひながら。殊に法花
J18_0131B24: 念佛は。一具の法門にて。中あしかるまじきに。當
J18_0131B25: 世の是非謗法かなしむべしと。是ただ專徒のみにあ
J18_0131B26: らず。諸宗の末流も。又浸浸として。此邪執に陷る
J18_0131B27: 類ひ。すくなからず故に大論に云。自然を愛染する
J18_0131B28: が故に。他人の法を毀訾れば。持戒の行人なりとい
J18_0131B29: へども。地獄の苦を脱れずと。宜しくこれを思ふべ
J18_0131B30:
J18_0131B31: 一同廿七日の朝。師の受業の師範大安寺退隱良覺上
J18_0131B32: 人。及ひ現住良聲上人。共に禪室に來臨ありて。今
J18_0131B33: 生の永訣を述べ。西土の再會を期せらる。師資先後
J18_0131B34: の恨。紅涙枕席を沾し。花臺半座の契り。喜情懷抱

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