浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J18_0118A01: | 一顆にして念珠を驀過せず。一言も餘言を以て數に |
J18_0118A02: | 充ず。その勇猛精進如法の儀。大率かくの如し。 |
J18_0118A03: | 私に按するに。明の蓮池大師。曾て永明禪師の晝夜 |
J18_0118A04: | に彌陀を念ずる事十萬といへるを。みづから修して |
J18_0118A05: | 試み給ふに。四字の名號にて正しく十萬を滿ぜり。 |
J18_0118A06: | 若六字なれは。その數〓滿ることあたはず。十萬とい |
J18_0118A07: | へるは大概にていへる事なりと。竹窓三筆に具に其 |
J18_0118A08: | 子細を載せられたり。然るに今師の日課十萬。時に |
J18_0118A09: | 依て其餘をも修せらるるといふ事。人或は疑ひて虚 |
J18_0118A10: | 誕に近しとせん。故にここに斷はり侍る。師の日課 |
J18_0118A11: | 增して十萬に及ぶこと。一朝一夕にあらず。六箇年の |
J18_0118A12: | 間にて。諸人のことごとしくれる所なり。更に疑ひ |
J18_0118A13: | をなすべからず。明遍僧都の毎日百萬徧の行者を疑 |
J18_0118A14: | ひ給ひしさへ。善導夢中に來現してこれを呵し給へ |
J18_0118A15: | り。雲棲の評は。後賢の議論に任せて。玆に記せ |
J18_0118A16: | ず。近代隆長闍棃の但信鈔にいはく。若は僧にもあ |
J18_0118A17: | れ。若は俗にもあれ。念佛の行者ならは。先數遍を |
J18_0118B18: | 第一とすべし。いにしへ鞍馬寺の重怡上人は四千日 |
J18_0118B19: | の間。日毎に念佛十二萬遍を唱へ給ふ。藤原宗友の本朝新修往生傳 |
J18_0118B20: | に見えたり 隆寬律師隆堯法印は。共に日課の稱名八萬四 |
J18_0118B21: | 千遍なり。かかる數遍の行者。今の世にはあるべく |
J18_0118B22: | も思はざりしに、近き比洛陽誓願寺より出て。壬生 |
J18_0118B23: | の邊に住る念佛の僧あり。私に云く專意法師といふ人なり日課念佛八 |
J18_0118B24: | 萬四千遍なり。又丹波の國に隱れ居たまへる義高高 |
J18_0118B25: | 雲の二比丘。日所作稱名十萬遍なりと語りし人あ |
J18_0118B26: | り。志深けれは難捨能捨難作能作侍るにや。長明 |
J18_0118B27: | か言の如く。末の世の人とても。人ごとに下根なる |
J18_0118B28: | にはあらずと云云今無能和尚の所爲を觀て知りぬべ |
J18_0118B29: | し |
J18_0118B30: | 一師時年卅一歳。正德三年四月十七日。伊達郡小島 |
J18_0118B31: | 村梅松寺寓居の時剃刀を以て。みづから婬根を斷却 |
J18_0118B32: | せられけり。小島村は所に外科醫なきに依て。五日を |
J18_0118B33: | 過て治療せられしに。其創三十日程の内に大かた平 |
J18_0118B34: | 愈せりとぞ。或人婬根斷却の意地を尋ねしに。師語 |