浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0119A01: | りて云く唐の靑龍寺に釋光儀といひし人あり。みつ |
J18_0119A02: | から根を斷て非法の障難を遁れ。志を守りて利益お |
J18_0119A03: | ほかりし事。僧傳に稱する所なり。われ是を見て甘 |
J18_0119A04: | 心して思はく。古今智愚ともに。人慾の嶮き道をふ |
J18_0119A05: | みて平生を誤る例おほく。又行化の方にも。世の譏 |
J18_0119A06: | 嫌を受ること少からず。されは自行化他の爲。旁根を |
J18_0119A07: | 切て僧行を堅くせんと。こひ願ふこと年久し。然れと |
J18_0119A08: | も。是に依て。もし癈人ともなりなは。却て修行の |
J18_0119A09: | 妨ならんと。深く恐慮して延引せし所に。栂尾の明 |
J18_0119A10: | 惠上人遺敎經の文に付て。佛法の爲には身命をもか |
J18_0119A11: | へりみるべきにあらずとて。則みづから右の耳を切 |
J18_0119A12: | り給ひし事。彼傳記にしるされしを見て。たちまち |
J18_0119A13: | 勇猛決定の心起りて。遂に所存を果し侍りきとぞ申 |
J18_0119A14: | されける。然るに其後さらに病惱なく。勇猛堅固に |
J18_0119A15: | 苦修練行しおはしける事諸人のことごとく知れる所な |
J18_0119A16: | り |
J18_0119A17: | 私に云。唐朝の光儀根を斷て利益おほかりし事。宋 |
J18_0119B18: | 高僧傳第廿六興福篇に見えたり。具に文に對して撿 |
J18_0119B19: | ふべし今案ずるに。この前陰斷却の事。光儀律師無 |
J18_0119B20: | 能和尚の如き志あらは可なるへし。普通の人のみだ |
J18_0119B21: | りに學ぶべき事にあらず。爲霖禪師のいへる如く。 |
J18_0119B22: | 大凡初心入道の人。婬心の息ざる事をうれへて。根 |
J18_0119B23: | を斷んと欲するは。その切に行道の爲に志を用るこ |
J18_0119B24: | と。誠に貴ぶべしといへども。欲心熾盛なる者。た |
J18_0119B25: | だその勢を斷ぬれば淫心息とのみ思はば。甚不可な |
J18_0119B26: | りと。猶又四十二章經法句譬喩經第一。義淨三藏の |
J18_0119B27: | 南海傳第四等に誡あり。能能斟酌すべき事なり |
J18_0119B28: | 一師專修一行の身となられける年。十二月廿九日の |
J18_0119B29: | 夜持戒者の事など思惟して。われ持戒にて念佛せん |
J18_0119B30: | か。將凡僧のままにて念佛せんかなと。彼是思ひわづ |
J18_0119B31: | らひてまとろまれけるに。其明方の夢に。誰とも思 |
J18_0119B32: | ひわかざる高僧一人來りて示し給ひけるやう。只 |
J18_0119B33: | 上人の一開永不閉の旨を守るべし暫開の定散をおも |
J18_0119B34: | ふべからずと。師この言を聞て夢さめ。感喜身にあ |