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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0672A01: 年月經歷すといへとも尊容の全身少も殘朽なく儼然
J17_0672A02: としていますがことく拜見せる輩驚歎せすといふ事な
J17_0672A03: ししかのみならす鈍色なる舍利數十顆古棺板合に湧
J17_0672A04: 出してありけれは衆僧いよいよ奇異の思ひをなし分
J17_0672A05: ちとりてふかく信し塔に納めて日夜敬禮し奉りたう
J17_0672A06: とむもの多かりきとなん。
J17_0672A07: ○滅後 往時元祖大師御示寂十六年ノ後嘉祿三年六月二十二日法蓮房覺阿彌妙香院ノ僧正御ハカラヒトシテ改葬シ奉ント石棺ノ蓋ヲ開キシニ尊骸巍巍トシテ生前ノ光顏少モタカフコトナクマシマシケルト時節ハルカニ異ナレトモ不思議ハ一ナリ此ノ時分カチシ舍利多ハ開山上人小幅ノ一枚起請文ノ軸中ニ收ムト古記ニ見エタリ今ナホ寳藏ニアリ。
J17_0672A08: 神變頡舍利の事
J17_0672A09: 記云八坂のほとりに一人の婦人あり上人棺上湧出の
J17_0672A10: 舍利を得て信敬する事年久し或とき心中にいささか
J17_0672A11: 疑心をいたき信仰も稍薄く成ける頃或人申けるは
J17_0672A12: 正眞の舍利は鐵槌をもて打破すれとも碎る事なくも
J17_0672A13: とのことし若正眞にあらされは忽くたけぬ是僞物な
J17_0672A14: りとしるべしと語りけれは婦人すなはち眞僞を試み
J17_0672B15: んと石上に置き鐵槌を以て是を打しにたちまち雷鳴
J17_0672B16: して光りをはなち空をさして頡去りぬその光霓のこ
J17_0672B17: とく華頂の方と覺しけれは後悔の涙袂をひたし光り
J17_0672B18: の跡をしたひ一心寺に來りかくと衆僧に語る衆徒驚
J17_0672B19: たち出て其光りの跡をみて奇異の思ひをなし上人の
J17_0672B20: 御影を拜するに御衣のうへに舍利とどまりましまし
J17_0672B21: ける婦人是を給はり候得と願へとも衆中あたへす再
J17_0672B22: 三號泣して願ひしかとも一度疑心を起し鐵槌にかけ
J17_0672B23: し其罪輕からすとゆるささりけれは是非なく涙なか
J17_0672B24: ら歸りけるこれを飛舍利と號して今に寶藏にあり。
J17_0672B25: ○此事跡ハ天正文祿ノ間第七世空譽行故和尚ノ時ナリ世上ニ流布セシコトハ行故和尚ニ常隨給仕ノ門人源歷師安居院ノ超勝院開基ノ人ナリ其門人當山ノ末寺七條ノ正行院ノ一世薰譽師源歷ノ傳説ヲ披露シケルユヘ人多ク知ト已上古記○頡字典云胡結切奚結切並音纈飛而上曰頡飛而下曰頏。
J17_0672B26: 木像後壁に映し給ふ事
J17_0672B27: 記云弘治永祿の頃上人の遺弟等開山の眞影を末の代
J17_0672B28: に留めんと御長四寸九分の木像を彫刻し寶龕に納め

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