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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0669A01: 衰へ萬事ほゐなく思しめし世をいとひ玉ふにやかね
J17_0669A02: て上人の德香を聞及ひ給ひけれは天文廿三年の春微
J17_0669A03: 行ましまして上人の室に來臨ありひそかに仰けるは
J17_0669A04: 我祖尊氏公の餘光もかすかに將軍の嚴威も衰へぬれ
J17_0669A05: はあれどもなきがごとく斯る世にながらへ侍るもほ
J17_0669A06: ゐなく後世のほども覺束なく思ひ侍れは要法を示し
J17_0669A07: 給はれと仰られける時に上人宣はく今日世尊大集經
J17_0669A08: に妻子珍寶及王位臨命終時不隨者唯戒及施不放逸今
J17_0669A09: 世後世爲伴侶と説おかせ給へは王位高貴のかたかた
J17_0669A10: も報命にはかきりありて終には殺鬼に伴はれ給ふ事
J17_0669A11: 免かれがたし爾の時にいたりてみづから獨り冥途に
J17_0669A12: 趣かせ給ふに供奉の伴侶もなくただ布施持戒などの
J17_0669A13: 善根のみぞ供奉ともなり申べし然にさせる善根もな
J17_0669A14: くとりたてて申ほどの修行もなし給はされははたし
J17_0669A15: て獄卒に捕はれ閻王の判斷をうけ給ふへし其ときに
J17_0669A16: いたりて後悔なし玉ふともその甲斐あるまし妻子眷
J17_0669A17: 屬多く侍りても皆恩愛の名殘を惜みわかれのみを悲
J17_0669B18: しみ或は財寶にかかはりて眞實の手向もなくいたづ
J17_0669B19: らに過ぬれば地獄の苦報まぬかれがたししかるに彌
J17_0669B20: 陀ほとけこれを憐れみ因位法藏比丘にておはせし時
J17_0669B21: 世自在王如來の御所にて大願を發し五劫に思惟し若
J17_0669B22: 我佛となりたらんに十方衆生いつはらずかさらずま
J17_0669B23: ことの心にて我國に生れんと思ひ我名を稱する事上は
J17_0669B24: 一生下は臨終に一聲十聲せんに生せずんば成佛すべ
J17_0669B25: からずとふかく誓を立給ひしに此願成就ましまして
J17_0669B26: 今現に西方に報土をかまへ成佛して阿彌陀佛と號し
J17_0669B27: 奉りぬゆへに今日釋尊の敎にしたかひ十方諸佛の誠
J17_0669B28: 證を信して淨土に生ぜん事を願ひ念佛するの外に此
J17_0669B29: 苦をまぬかるへき法なし此故に大集月藏經に我末法
J17_0669B30: 時中億億衆生起行修道未有一人得者と説玉へり然に
J17_0669B31: 正像末の三時を以てこれをはかるに當今は現に末法
J17_0669B32: 五濁惡世にして父母に孝なく君に忠なく邪惡のみな
J17_0669B33: す事多は是衆生濁なり種種の邪見を生し正直ならす
J17_0669B34: われのみよしとして善道を修せさるを見濁といひ今

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