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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0650A01: 時。上人京づとせんとて。聖道門の修行は智惠をき
J16_0650A02: はめて生死をはなれ。淨土門の修門は。愚癡にかへ
J16_0650A03: りて極樂にむまると。心得べしとぞ仰られける。
J16_0650A04: ●辭ハ辭退ナリ暇ヲ申テ別ルルヲ云●京ツトハ萬
J16_0650A05: 葉ニ苞苴裹ノ字ヲ書ケリ又裹物トモ書ケリ其所ノ
J16_0650A06: 土産ナリ
J16_0650A07: さて本國にかへりては。ふかくその德をかくして。
J16_0650A08: 番匠を藝能として。世をわたるはかりこととなんせ
J16_0650A09: られけるを。隆寬律師。配所におもむかれし時。當
J16_0650A10: 國みつけの國府といふ所に。逗留せられたりける
J16_0650A11: に。近隣の地頭とも結縁のためにきたりあつまれる
J16_0650A12: に。さてもこの國に蓮華寺といふ所に。禪勝房と申
J16_0650A13: ひじりや侍とたづねらるるに。そこには。さるべき
J16_0650A14: ひじり更におぼえ侍らす。番匠にて禪勝と申ものこ
J16_0650A15: そ侍れと申に。いかにもあやしく侍り。狀をつかは
J16_0650A16: してたづねこころみ侍らんとて。ふみをかきてつか
J16_0650A17: はされたりけれは。これをひらき見て。とりあへず
J16_0650B18: はしりきたれり。律師庭におりむかひて。手をと
J16_0650B19: りてひきのぼせ。たがひになみだをながして。往事
J16_0650B20: をかたられけり。日來あなづり思ひつる武士とも。
J16_0650B21: 目もあやにみけり。律師申されけるは。いかに故上
J16_0650B22: 人の仰には。禪勝房は。身ひとり往生すべきものに
J16_0650B23: てはなきなりとこそ仰られしに。無下にさやうに
J16_0650B24: て。むなしくすごしたまはんこと。うたてきわざな
J16_0650B25: りといさめ申されければ。おほせまことにいはれた
J16_0650B26: る事なりとてわかれたまふ。律師よになごりおしけ
J16_0650B27: に見をくられけり。
J16_0650B28: ●國府ハ第十七卷ニ注シヌ●サルヘキヒシリトハ
J16_0650B29: サヤウナル聖ノ然ヘキ人ハト也行幸ニサルベキ人
J16_0650B30: 人ニモ立ヲクレトアル此類ナリ●イカニモアヤシ
J16_0650B31: ク侍リトハナル程心モトナシトナリ●往事ハス
J16_0650B32: ギツル昔ノ事ヲ云ナリ白居易詩ニ往事眇忙都似
J16_0650B33: 文集第七●目モアヤニ見ケリトハ見ル目モアヤシ
J16_0650B34: クテ覺エケルトナリ源氏ニサタスキタル御メト

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