浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0650A01: | 時。上人京づとせんとて。聖道門の修行は智惠をき |
J16_0650A02: | はめて生死をはなれ。淨土門の修門は。愚癡にかへ |
J16_0650A03: | りて極樂にむまると。心得べしとぞ仰られける。 |
J16_0650A04: | ●辭ハ辭退ナリ暇ヲ申テ別ルルヲ云●京ツトハ萬 |
J16_0650A05: | 葉ニ苞苴裹ノ字ヲ書ケリ又裹物トモ書ケリ其所ノ |
J16_0650A06: | 土産ナリ |
J16_0650A07: | さて本國にかへりては。ふかくその德をかくして。 |
J16_0650A08: | 番匠を藝能として。世をわたるはかりこととなんせ |
J16_0650A09: | られけるを。隆寬律師。配所におもむかれし時。當 |
J16_0650A10: | 國みつけの國府といふ所に。逗留せられたりける |
J16_0650A11: | に。近隣の地頭とも結縁のためにきたりあつまれる |
J16_0650A12: | に。さてもこの國に蓮華寺といふ所に。禪勝房と申 |
J16_0650A13: | ひじりや侍とたづねらるるに。そこには。さるべき |
J16_0650A14: | ひじり更におぼえ侍らす。番匠にて禪勝と申ものこ |
J16_0650A15: | そ侍れと申に。いかにもあやしく侍り。狀をつかは |
J16_0650A16: | してたづねこころみ侍らんとて。ふみをかきてつか |
J16_0650A17: | はされたりけれは。これをひらき見て。とりあへず |
J16_0650B18: | はしりきたれり。律師庭におりむかひて。手をと |
J16_0650B19: | りてひきのぼせ。たがひになみだをながして。往事 |
J16_0650B20: | をかたられけり。日來あなづり思ひつる武士とも。 |
J16_0650B21: | 目もあやにみけり。律師申されけるは。いかに故上 |
J16_0650B22: | 人の仰には。禪勝房は。身ひとり往生すべきものに |
J16_0650B23: | てはなきなりとこそ仰られしに。無下にさやうに |
J16_0650B24: | て。むなしくすごしたまはんこと。うたてきわざな |
J16_0650B25: | りといさめ申されければ。おほせまことにいはれた |
J16_0650B26: | る事なりとてわかれたまふ。律師よになごりおしけ |
J16_0650B27: | に見をくられけり。 |
J16_0650B28: | ●國府ハ第十七卷ニ注シヌ●サルヘキヒシリトハ |
J16_0650B29: | サヤウナル聖ノ然ヘキ人ハト也行幸ニサルベキ人 |
J16_0650B30: | 人ニモ立ヲクレトアル此類ナリ●イカニモアヤシ |
J16_0650B31: | ク侍リトハナル程心モトナシトナリ●往事ハス |
J16_0650B32: | ギツル昔ノ事ヲ云ナリ白居易詩ニ往事眇忙都似 |
J16_0650B33: | 夢文集第七●目モアヤニ見ケリトハ見ル目モアヤシ |
J16_0650B34: | クテ覺エケルトナリ源氏ニサタスキタル御メト |