浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0610A01: | サモアルヘキ所ナリ行幸ニサルベキ人人ニモ立ヲ |
J16_0610A02: | クレナドアルモ其心ナリ●藝能モ德行モ世ニスグ |
J16_0610A03: | レ財寳又ユタカナルヲ長者ト云要覽等●身命ヲツナ |
J16_0610A04: | グ資縁ナキヲ無縁ノ者ト云ナリ親類朋友等ニ通シ |
J16_0610A05: | テ皆資縁ナリ●メサンモノヲモヨホシ給ナンヤト |
J16_0610A06: | ハ言心ハ何ニテモソレノ食物ヲ送リ及ボシ給ハラ |
J16_0610A07: | ンヤトナリ孟子ニ恩足以及禽獸梁シテ惠王ト云及ノ |
J16_0610A08: | 字ノ如シ●カタノゴトクハ如形ノ字ナリ少バカ |
J16_0610A09: | リトナリ●水瓶ハ出家ノ身ヲ放マジキ具ナリ此人 |
J16_0610A10: | モト叡空上人ノ弟子圓戒護持ノ人ナレバニヤ |
J16_0610A11: | 上人。つねはいかやうにか。すみなしたるらんとの |
J16_0610A12: | 給ける程に。三年といふに。この人出來れり上人お |
J16_0610A13: | どろきて。あれはいかにとの給へは。西仙房申樣。 |
J16_0610A14: | その事に候。はじめの年ばかりは。世縁俗念の。心 |
J16_0610A15: | をみだる事もさふらはで。よく候しかども。こぞの |
J16_0610A16: | 春より。徒然の心いできて。いとひし同朋同行。し |
J16_0610A17: | たしき境界までもこひしく。徒然にたへぬままには。 |
J16_0610B18: | ありし聖敎をひらき見たらば。なぐさみてましなど。 |
J16_0610B19: | 人にとらせし事さへ後悔せられ。剩はては。時非時 |
J16_0610B20: | をつたふる小童などにむかひて。なにとなきそぞろ |
J16_0610B21: | 事を申て。心をなぐさめなどして。いよいよつれつれ |
J16_0610B22: | のみ。強盛になり侍りしかは。故郷をおもふ心はお |
J16_0610B23: | ほく。極樂をねがふ心はすくなし。心をしづめて念 |
J16_0610B24: | 佛申さんだめにこそ。ここにはきたりしが。つれつ |
J16_0610B25: | れをねんじ。故郷をこふる心と。たたかはんために |
J16_0610B26: | はあらざりき。されば假名の阿蘭若すみすみてをは |
J16_0610B27: | りにはなにの身にかはなるべき。無益のすまゐかな |
J16_0610B28: | とおもひて。入道にはかくとも申さで。にげのほり |
J16_0610B29: | て候なりと申ければ。智者にも學生にもよらず。道 |
J16_0610B30: | 心なきものは。この心はなき事なりと。上人返返隨 |
J16_0610B31: | 喜し給けり。 |
J16_0610B32: | ●ツネハイカヤウニカスミナシタルラントハ身命 |
J16_0610B33: | ヲツグベキ朝夕ノイトナミヲバイカガシツラント |
J16_0610B34: | ナリ孟子梁惠王ニ無恒産因無恒心トアリ心 |