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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0609A01: ちには上人を師として。一向專修の行者となりにけ
J16_0609A02: り。學生なるうへ。道心もふかかりしかば。上人を
J16_0609A03: ろかならぬことにおもひたまへり。しかるを西仙房
J16_0609A04: 心中におもはく。同朋同行したしきあたりは。ことに
J16_0609A05: ふれてその難おほし。たれともしられざらんところ
J16_0609A06: にひとりゐて。しづかに念佛せんとおもひて。さるへ
J16_0609A07: き所やあると。たづねありきけるほどに。河内國讃
J16_0609A08: 良といふところに。あたりもにぎはひてみゆる家
J16_0609A09: ありけり。そこなる人にたづぬれば。あの家主は。
J16_0609A10: 尼入道とて。この邊の長者なり。ありがたき善人に
J16_0609A11: て。よろづの僧の。あつまる所なりと申けるをきき
J16_0609A12: て。かの家にゆきていふやう。しづかなるところに
J16_0609A13: 居て。後世のつとめをせばやとおもひ侍れとも。無
J16_0609A14: 縁のものにて。身命つきがたし。入道殿は善人にて
J16_0609A15: おはすなるに。あのはやしの中に。方丈のいほり一
J16_0609A16: つくりて。なににてもめさむものを催し給なんや。
J16_0609A17: そのうちにこもり居て。しづかに念佛し侍らん。た
J16_0609B18: だし僧を歸依してをきたればとて。心經一卷をも
J16_0609B19: よませ。もしは消息一紙なりともかけなとのたまひ
J16_0609B20: て。これへよび。又あれへおはする事あるべから
J16_0609B21: ず。かたのことく命いけたまはんものをば。やまは
J16_0609B22: やしの鳥けだものに。ほどこすとおもひ給へと。こ
J16_0609B23: の入道も。いささか見るところありけるにや。いか
J16_0609B24: にも御房の仰せられむにしたがふへし。ゆめゆめ心
J16_0609B25: をたがへたてまつるへからずと。こたへけれは。さ
J16_0609B26: らばそのころまいらんと。ちぎりをきて。京へかへ
J16_0609B27: りのぼりて。所持の聖敎どもをば人にわかちとらせ
J16_0609B28: て。ただ水瓶ばかりを。身にしたがへつつ。上人の
J16_0609B29: 草庵に參じ。隱居の所存をのべ。今生の見參は只今
J16_0609B30: ばかりなり。再會は極樂を期し侍へしとていでにけ
J16_0609B31: り。
J16_0609B32: ●心寂種姓未詳●河内國讚良ハ一郡ノ總名ニシヲ別ニ一所ノ稱トス
J16_0609B33: ●ヲロカナラヌハ不疎ノ字ナリ●サルベキ所トハ

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