浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0609A01: | ちには上人を師として。一向專修の行者となりにけ |
J16_0609A02: | り。學生なるうへ。道心もふかかりしかば。上人を |
J16_0609A03: | ろかならぬことにおもひたまへり。しかるを西仙房 |
J16_0609A04: | 心中におもはく。同朋同行したしきあたりは。ことに |
J16_0609A05: | ふれてその難おほし。たれともしられざらんところ |
J16_0609A06: | にひとりゐて。しづかに念佛せんとおもひて。さるへ |
J16_0609A07: | き所やあると。たづねありきけるほどに。河内國讃 |
J16_0609A08: | 良といふところに。あたりもにぎはひてみゆる家 |
J16_0609A09: | ありけり。そこなる人にたづぬれば。あの家主は。 |
J16_0609A10: | 尼入道とて。この邊の長者なり。ありがたき善人に |
J16_0609A11: | て。よろづの僧の。あつまる所なりと申けるをきき |
J16_0609A12: | て。かの家にゆきていふやう。しづかなるところに |
J16_0609A13: | 居て。後世のつとめをせばやとおもひ侍れとも。無 |
J16_0609A14: | 縁のものにて。身命つきがたし。入道殿は善人にて |
J16_0609A15: | おはすなるに。あのはやしの中に。方丈のいほり一 |
J16_0609A16: | つくりて。なににてもめさむものを催し給なんや。 |
J16_0609A17: | そのうちにこもり居て。しづかに念佛し侍らん。た |
J16_0609B18: | だし僧を歸依してをきたればとて。心經一卷をも |
J16_0609B19: | よませ。もしは消息一紙なりともかけなとのたまひ |
J16_0609B20: | て。これへよび。又あれへおはする事あるべから |
J16_0609B21: | ず。かたのことく命いけたまはんものをば。やまは |
J16_0609B22: | やしの鳥けだものに。ほどこすとおもひ給へと。こ |
J16_0609B23: | の入道も。いささか見るところありけるにや。いか |
J16_0609B24: | にも御房の仰せられむにしたがふへし。ゆめゆめ心 |
J16_0609B25: | をたがへたてまつるへからずと。こたへけれは。さ |
J16_0609B26: | らばそのころまいらんと。ちぎりをきて。京へかへ |
J16_0609B27: | りのぼりて。所持の聖敎どもをば人にわかちとらせ |
J16_0609B28: | て。ただ水瓶ばかりを。身にしたがへつつ。上人の |
J16_0609B29: | 草庵に參じ。隱居の所存をのべ。今生の見參は只今 |
J16_0609B30: | ばかりなり。再會は極樂を期し侍へしとていでにけ |
J16_0609B31: | り。 |
J16_0609B32: | ●心寂種姓未詳●河内國讚良ハ一郡ノ總名ニシヲ別ニ一所ノ稱トス |
J16_0609B33: | ●ヲロカナラヌハ不疎ノ字ナリ●サルベキ所トハ |