浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0351A01: | 退失傾動せられざれといへり。この釋の心は。はじ |
J16_0351A02: | めにはわが身のほどを信じ。後には佛の願を信ずる |
J16_0351A03: | なり。その故は。もしはじめの信心をあげずして。 |
J16_0351A04: | 後の信心を釋し給はは。もろもろの往生をねがはん |
J16_0351A05: | 人。たとひ本願の名號をはとなふとも。みづから心 |
J16_0351A06: | に貪慾嗔恚の煩惱をもおこし。身に十惡破戒等の罪 |
J16_0351A07: | 惡をもつくりたる事あらば。みだりに自身をかろし |
J16_0351A08: | めて。身のほとをかへりみて本願を疑ひ候はまし。 |
J16_0351A09: | いまこの本願に十聲一聲までに往生すといふは。お |
J16_0351A10: | ほろけの人にはあらじなどそ。おぼえ候はまし。し |
J16_0351A11: | かるを善導和尚。未來の衆生の。このうたがひをお |
J16_0351A12: | こさん事をかがみて。この二の信をあげて。我等が |
J16_0351A13: | いまだ煩惱をも斷せず。罪業をもつくる凡夫なれど |
J16_0351A14: | も。ふかく彌陀の本願を信じて念佛すれば。一聲に |
J16_0351A15: | いたるまで。决定して往生するよしを釋したまへ |
J16_0351A16: | る。この釋のことに心にそみていみじくおぼへ候な |
J16_0351A17: | り。まことにかくだにも。釋し給はざらましかば。往 |
J16_0351B18: | 生は不定にぞおぼえ候はましと。あやうくおぼえ |
J16_0351B19: | 候。さればこの儀を心えわかぬ人やらん。わが心の |
J16_0351B20: | わろければ。往生はかなはじとこそは。申あひて候 |
J16_0351B21: | めれ。そのうたがひのやがて往生せぬ心にて候ける |
J16_0351B22: | ものを。ただ心の善惡をもかへりみず。罪のかろき |
J16_0351B23: | おもきをも沙汰せず。心に往生せんとおもひて。口 |
J16_0351B24: | に南無阿彌陀佛ととなへては。聲につきて决定往生 |
J16_0351B25: | の思をなすべし。その决定心によりて。すなはち往 |
J16_0351B26: | 生の業はさたまるなり。かく心えねは。往生は不定 |
J16_0351B27: | なり。往生は不定とおもへば。やがて不定なり。一 |
J16_0351B28: | 定と思へは。一定する事にて候なり。されば詮はふ |
J16_0351B29: | かく信ずる心と申候は。南無阿彌陀佛と申せば。そ |
J16_0351B30: | の佛の誓にて。いかなる身をもきらはず一定むかへ |
J16_0351B31: | 給ぞと。ふかくたのみて。いかなるとがをもかへり |
J16_0351B32: | みず。うたがふ心のすこしもなきを申候なり。 |
J16_0351B33: | ●心ヲタテテハ立心ノ字ナリ本文ニハ建立自心ト |
J16_0351B34: | アリ●傾動ハ人ノ言ニ隨テ心定マラヌナリ●候ハ |