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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0351A01: 退失傾動せられざれといへり。この釋の心は。はじ
J16_0351A02: めにはわが身のほどを信じ。後には佛の願を信ずる
J16_0351A03: なり。その故は。もしはじめの信心をあげずして。
J16_0351A04: 後の信心を釋し給はは。もろもろの往生をねがはん
J16_0351A05: 人。たとひ本願の名號をはとなふとも。みづから心
J16_0351A06: に貪慾嗔恚の煩惱をもおこし。身に十惡破戒等の罪
J16_0351A07: 惡をもつくりたる事あらば。みだりに自身をかろし
J16_0351A08: めて。身のほとをかへりみて本願を疑ひ候はまし。
J16_0351A09: いまこの本願に十聲一聲までに往生すといふは。お
J16_0351A10: ほろけの人にはあらじなどそ。おぼえ候はまし。し
J16_0351A11: かるを善導和尚。未來の衆生の。このうたがひをお
J16_0351A12: こさん事をかがみて。この二の信をあげて。我等が
J16_0351A13: いまだ煩惱をも斷せず。罪業をもつくる凡夫なれど
J16_0351A14: も。ふかく彌陀の本願を信じて念佛すれば。一聲に
J16_0351A15: いたるまで。决定して往生するよしを釋したまへ
J16_0351A16: る。この釋のことに心にそみていみじくおぼへ候な
J16_0351A17: り。まことにかくだにも。釋し給はざらましかば。往
J16_0351B18: 生は不定にぞおぼえ候はましと。あやうくおぼえ
J16_0351B19: 候。さればこの儀を心えわかぬ人やらん。わが心の
J16_0351B20: わろければ。往生はかなはじとこそは。申あひて候
J16_0351B21: めれ。そのうたがひのやがて往生せぬ心にて候ける
J16_0351B22: ものを。ただ心の善惡をもかへりみず。罪のかろき
J16_0351B23: おもきをも沙汰せず。心に往生せんとおもひて。口
J16_0351B24: に南無阿彌陀佛ととなへては。聲につきて决定往生
J16_0351B25: の思をなすべし。その决定心によりて。すなはち往
J16_0351B26: 生の業はさたまるなり。かく心えねは。往生は不定
J16_0351B27: なり。往生は不定とおもへば。やがて不定なり。一
J16_0351B28: 定と思へは。一定する事にて候なり。されば詮はふ
J16_0351B29: かく信ずる心と申候は。南無阿彌陀佛と申せば。そ
J16_0351B30: の佛の誓にて。いかなる身をもきらはず一定むかへ
J16_0351B31: 給ぞと。ふかくたのみて。いかなるとがをもかへり
J16_0351B32: みず。うたがふ心のすこしもなきを申候なり。
J16_0351B33: ●心ヲタテテハ立心ノ字ナリ本文ニハ建立自心ト
J16_0351B34: アリ●傾動ハ人ノ言ニ隨テ心定マラヌナリ●候ハ

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