浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0349A01: | 聞利養わづかにふりすてたるばかりを。かたくいみ |
J16_0349A02: | じき事にして。今世さまにも心のたけのうるさきに |
J16_0349A03: | とりなして。さとりあさき世間の人の。心をばしら |
J16_0349A04: | す。たうとかりいみじかるを。これこそは本意なれ |
J16_0349A05: | と心ざしたる心にて。みやこのほとりをかきはなれ |
J16_0349A06: | て。かすかなる住所をたづぬるまても。心のしづま |
J16_0349A07: | らんためをばつぎになして。本尊道塲の莊嚴まがき |
J16_0349A08: | のうちに花のこだちなどの。心ぼそくものあはれな |
J16_0349A09: | らんことがらを。人に見えきかれん事をのみ執する |
J16_0349A10: | ほどに。つゆの事も人のそしりならん事あらじと。 |
J16_0349A11: | おもひいとなむ心よりほかにおもひまじふる事な |
J16_0349A12: | し。加樣なる心にのみなして。佛のちかひをたのみ |
J16_0349A13: | 往生をねがはんといふことは。おもひいれず沙汰も |
J16_0349A14: | せぬ事の。やがて至誠心かけて。往生せぬ心ばへに |
J16_0349A15: | て候なり。又かく申候へは。ひとへに今世の人目を |
J16_0349A16: | は。いかにてもありなん人のそしりをかへりみぬが |
J16_0349A17: | よきぞと。申儀にては候はす。人目をかへりみる事 |
J16_0349B18: | は候へども。それをのみおもひいれて。往生のさは |
J16_0349B19: | りになるかたをば。かへり見ぬやうにひきなされ候 |
J16_0349B20: | はん事の。返返をろかに口をしく候へは。御身にあ |
J16_0349B21: | たりても。御心えさせまいらせんが爲に申候なり。 |
J16_0349B22: | ●イフハカリナキトハ眼前ノ無常イツハリモナキ |
J16_0349B23: | ハ只口吟ハカリニアラス云ヘキ樣モナク實ニアタ |
J16_0349B24: | ナルヲトナリ拾玉集百首ノ中ニ慈鎭和尚ナカムレ |
J16_0349B25: | ハ袖コソカネテ時雨ヌレイフハカリナキ空ノケシ |
J16_0349B26: | キニ●カタクトハ名利捨タルハ成カタキヲヨクナ |
J16_0349B27: | シケルヨト堅ク執スルソトナリ錄ニハ有難クイ |
J16_0349B28: | ミシキ事ニシテ軈ソレヲ返リテ又名聞ニシナシテ |
J16_0349B29: | 此世サマニモト云云●今世樣ハ此世ノアリ樣ニツケ |
J16_0349B30: | テモトナリ●心ノタケハ心ノ長ナリウルサキハ心 |
J16_0349B31: | 量ノ短クツタナキナリ上ノ名利ヲワヅカニステシ |
J16_0349B32: | ヲイミシト思フ心ナリ夫木鈔ニ戀歌中西行上人モ |
J16_0349B33: | ノオモフ心ノタケソシラレケル夜ナ夜ナ月ヲナカ |
J16_0349B34: | メアカシテ●心ヲハシラストハ短キ心ニヤカテ名 |