浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0341A01: | がふにてこそあれなといふ事の多くきこゆる。加樣 |
J16_0341A02: | の僻事ゆめゆめもちゐるべからす。いつれの所に |
J16_0341A03: | か。阿彌陀佛は罪つくれとすすめ給たる。これひと |
J16_0341A04: | へに我身に惡をもととめえす。罪をのみつくりゐた |
J16_0341A05: | るままに。かかるゆくゑもなき虚言をたくみいだし |
J16_0341A06: | て。ものもしらぬ男女の輩をすかしほらかし。罪業 |
J16_0341A07: | をすすめ煩惱ををこさしむる事。しかしながらこれ |
J16_0341A08: | 天魔のたくひなり外道のしわざなり。往生極樂のあ |
J16_0341A09: | たかたきなりと思へし。又念佛の數を多く申ものを |
J16_0341A10: | は。自力をはげむといふ事。是またものも覺えず。 |
J16_0341A11: | あさましき僻事なり。たた一念二念をとなふとも。 |
J16_0341A12: | 自力の心ならん人は自力の念佛とすべし。千遍萬遍 |
J16_0341A13: | をとなへ。百日千日よるひるはけみつとむとも。偏 |
J16_0341A14: | に願力をたのみ他力をあふぎたらん人の念佛は聲聲 |
J16_0341A15: | 念念しかしなから他力の念佛にてあるべし。され |
J16_0341A16: | ば三心ををこしたる人の念佛は。日日夜夜時時尅尅 |
J16_0341A17: | に唱れとも。しかしなから願力を仰き他力をたのみ |
J16_0341B18: | たる心にて唱居たれは。かけてもふれても。自力の |
J16_0341B19: | 念佛とはいふべからず。また三心と申事は。その子 |
J16_0341B20: | 細をしりたる人の念佛に三心具足せん事は左右に及 |
J16_0341B21: | ばす。つやつや三心の名をたにもしらぬ無智の輩の |
J16_0341B22: | 念佛には。いかでか三心具し候へきと申人も候やら |
J16_0341B23: | ん。これは返返僻事にて候なり。たとひ三心の名を |
J16_0341B24: | たにもしらぬ無智の者なれとも。彌陀の誓を賴奉 |
J16_0341B25: | て。すこしも疑ふ心なくして。此名號を唱れば。こ |
J16_0341B26: | の心か即三心具足の心にてあるなり。さればただひ |
J16_0341B27: | らに信じてだにも念佛すれば。三心はをのづから具 |
J16_0341B28: | するなり。さればこそ。よにあさましき一文不通の |
J16_0341B29: | 輩の中にも。一すちに念佛する者は。臨終正念にし |
J16_0341B30: | て目出たき往生をばすれ。これ現證あらたなる事な |
J16_0341B31: | り。露塵も疑ふべからず。中中よくもしらぬ三心沙 |
J16_0341B32: | 汰して。あしさまに心得たる人人は。臨終も思ふ樣 |
J16_0341B33: | ならぬ事おほし。それにてたれもたれも心得へき也。 |
J16_0341B34: | ●ユクエモナキトハ跡形モ見エヌヲ云ナリ西行家 |