浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0318A01: | 往生の念佛よ。虚假とて。かざる心にて申念佛が往 |
J16_0318A02: | 生はせぬなり。决定往生せんとおもはば。かざる心 |
J16_0318A03: | なくして。まことの心にて申へし。いふかひなきお |
J16_0318A04: | さなきもの。もしは畜生などにむかひては。かざる |
J16_0318A05: | 心はなけれども。朋同行はいふにをよばす。その外 |
J16_0318A06: | つねになれ見る。妻子眷屬なれども。東西を辨ふる |
J16_0318A07: | 程の者になりぬれは。それがために。かならずかざ |
J16_0318A08: | る心はおこるなり。人の中にすまんには。その心な |
J16_0318A09: | き凡夫はあるべからす。すべて親きも疎も貴も賤 |
J16_0318A10: | も。人にすぎたる往生のあたはなし。それかために |
J16_0318A11: | かざる心をおこして。順次の往生をとげさればな |
J16_0318A12: | り。さりとて獨居もかなはず。いかがして人目をか |
J16_0318A13: | ざる心なくして。まことの心にて念佛すべきといふ |
J16_0318A14: | に。つねに人にまじりて。しづまる心もなく。かざ |
J16_0318A15: | る心もあらんものは。夜さしふけて。見る人もなく。 |
J16_0318A16: | 聞人もなからん時。しのびやかに起居て。百遍にて |
J16_0318A17: | も千遍にても。多少こころにまかせて申さん念佛の |
J16_0318B18: | みぞ。かざる心もなければ。佛意に相應して。决定 |
J16_0318B19: | 往生はとぐべき。この心を得なば。かならずしも夜 |
J16_0318B20: | にはかきるべからず。朝にても晝にても暮にても。 |
J16_0318B21: | 人のききはばかりなからん所にて。つねにかくのご |
J16_0318B22: | とく申へし。所詮决定往生をねがふ。まことの念佛 |
J16_0318B23: | 申さんするかざらぬ心ねは。たとへは盜人ありて。 |
J16_0318B24: | 人の財を思かけてぬすまんとおもふ心は底にふかけ |
J16_0318B25: | れとも。面はさりげなき樣にもてなして。かまへて |
J16_0318B26: | あやしげなる色を。人に見えじとおもはんがごと |
J16_0318B27: | し。そのぬすみ心は人またくしらねば。すこしもか |
J16_0318B28: | ざらぬ心なり。决定往生せんとする心も又かくのこ |
J16_0318B29: | とし。人おほくあつまり居たらん中にても。念佛申 |
J16_0318B30: | いろを人に見せすして。心にわするまじきなり。其 |
J16_0318B31: | 時の念佛は。佛よりほかはたれかこれをしるべき。 |
J16_0318B32: | 佛しらせ給はは。往生なんぞ疑はんと仰られければ。 |
J16_0318B33: | ●故實ハ史記ノ周世家ニ見ユ韋昭カ注ニ故事是者 |
J16_0318B34: | 也ト此字國語ニ出タリ文選ナトニ又往往ナリ●イ |