浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0297A01: | 次に難易の義といふは。念佛は修しやすく。諸行は |
J16_0297A02: | 修しがたし。略抄かるが故にしりぬ。念佛はやすきが |
J16_0297A03: | ゆへに一切に通ず。諸行はかたきがゆへに諸機に通 |
J16_0297A04: | せず。然則一切衆生をして。平等に往生せしめんが |
J16_0297A05: | ために。難をすてて易をとりて本願とする歟。若し |
J16_0297A06: | それ造像起塔をもて本願とせば。貧窮困乏のたぐひ |
J16_0297A07: | はさだめて往生ののぞみをたたん。しかるを富貴の |
J16_0297A08: | ものはすくなく。貧賤のものははなはだ多し。もし |
J16_0297A09: | 智惠高才をもて本願とせば。愚鈍下智のものは定め |
J16_0297A10: | て往生の望をたたん。しかるに智惠のものはすくな |
J16_0297A11: | く。愚痴のものははなはだおほし。多聞多見をもて |
J16_0297A12: | 本願とせば。少聞少見の輩はさだめて往生の望をた |
J16_0297A13: | たん。しかるを多聞のものはすくなく。少聞のもの |
J16_0297A14: | ははなはだおほし。若し持戒持律をもて本願とせ |
J16_0297A15: | は。破戒無戒の人はさだめて往生ののぞみをたたん。 |
J16_0297A16: | しかるを持戒のものはすくなく。破戒のものは甚多 |
J16_0297A17: | し。自餘の諸行これに准じてしるべし。まさにしる |
J16_0297B18: | べし。上の諸行等をもて本願とせば。往生をうるも |
J16_0297B19: | のはすくなく。往生せざるものはおほからん。然則 |
J16_0297B20: | 彌陀如來法藏比丘のむかし平等の慈悲にもよほされ |
J16_0297B21: | て。あまねく一切を攝せんがために。造像起塔等の |
J16_0297B22: | 諸行をもて往生の本願とせず。ただ稱名念佛の一行 |
J16_0297B23: | をもてその本願とするなり。乃至問曰。一切の菩薩そ |
J16_0297B24: | の願をたつといへども。あるひはすでに成就せるも |
J16_0297B25: | あり。又いまた成就せざるもあり。いぶかし法藏菩 |
J16_0297B26: | 薩の四十八願は。すでに成就せりとやせん。はたい |
J16_0297B27: | まだ成就せずとやせん。答曰。法藏の誓願は一一に |
J16_0297B28: | 成就し給へり。いかんとなれは。極樂界の中にすで |
J16_0297B29: | に三惡趣なし。まさにしるべしこれすなはち無三惡 |
J16_0297B30: | 趣の願を成就し給へるなり。なにをもてかしること |
J16_0297B31: | をうるとならば。すなはち願成就の文に。又地獄餓 |
J16_0297B32: | 鬼畜生諸難の趣なしといへるこれなり。又彼國の人 |
J16_0297B33: | 天。命をはりてのち三惡趣にかへることなし。まさ |
J16_0297B34: | にしるべしこれすなはち不更惡趣の願を成就せるな |