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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0296A01: 同第三段云。彌陀如來餘行をもて往生の本願とせ
J16_0296A02: ず。ただ念佛をもて往生の本願とする文といひて。
J16_0296A03: 無量壽經の上卷本願の文以下をひけり。私の詞云。
J16_0296A04: 問云。あまねく諸願に約して麁惡をえらびすてて。
J16_0296A05: 善妙をえらひとる事その理しかるべし。なんのゆへ
J16_0296A06: ぞ。第十八の願に一切の諸行をえらひすてて。ただ
J16_0296A07: ひとへに念佛の一行をえらひとりて。往生の本願と
J16_0296A08: するや。答云。聖意はかりがたしたやすく解するに
J16_0296A09: あたはず。しかりといへどもいまこころみに二の義
J16_0296A10: をもてこれを解せん。一には勝劣の義。二には難易
J16_0296A11: の義也。初に勝劣といふは。念佛はこれすぐれ。餘
J16_0296A12: 行は劣なり。ゆへいかんとなれば。名號はこれ萬德
J16_0296A13: の歸する所也。しかればすなはち彌陀一佛のあらゆ
J16_0296A14: る四智三身十力四無畏等の一切の内證の功德。相好
J16_0296A15: 光明説法利生等の一切の外用の功德。みなことこと
J16_0296A16: く阿彌陀佛の名號の中に攝在せり。かるがゆへに名
J16_0296A17: 號の功德もともすぐれたりとす。餘行はしからず。
J16_0296B18: をのをの一隅をまもる。ここをもて劣也とす。たと
J16_0296B19: へば世間の屋舍のごとし。その屋舍の名字の中には
J16_0296B20: 棟梁椽柱等の一切の家具を攝す。棟梁等の一一の名
J16_0296B21: 字の中には。一切を攝することあたはず。これをも
J16_0296B22: てしりぬべし。しかればすなはち名號の功德は。餘
J16_0296B23: の一切の功德にすぐれたり。故に劣をすてて。勝を
J16_0296B24: とりてもて本願とする歟。
J16_0296B25: ●諸願ニ約シテトハ約ハ依約ノ心ナリ言心ハ諸願
J16_0296B26: ハ皆麤惡ヲ捨テ善妙ヲトレリ其理モトモナリ今諸
J16_0296B27: 願ノ例ニ依ルニ此願モ亦爾ヘシ而ルニ唯念佛ノ一
J16_0296B28: 行ヲ取テ善妙ノ諸行ヲ捨ルコト道理ニアタルヘカ
J16_0296B29: ラストナリ答ノ意ノ曰是諸行ハ麤惡不淨ノ故ニ捨
J16_0296B30: ルニハアラス但念佛ニ對スルニ麤劣難行ナリ故ニ
J16_0296B31: 今勝易ノ念佛ヲ取テ本願トスルトソ●一隅ヲマモ
J16_0296B32: ルトハ一方ノ片隅ハカリトゾ論語ノ述而ニ擧一
J16_0296B33: 隅不以三隅反則不復也●家具ハ家ノ諸道具
J16_0296B34: ナリ俗ニ食器ニ局テ家具ト云ハ總屬別名ナリ

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