浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0296A01: | 同第三段云。彌陀如來餘行をもて往生の本願とせ |
J16_0296A02: | ず。ただ念佛をもて往生の本願とする文といひて。 |
J16_0296A03: | 無量壽經の上卷本願の文以下をひけり。私の詞云。 |
J16_0296A04: | 問云。あまねく諸願に約して麁惡をえらびすてて。 |
J16_0296A05: | 善妙をえらひとる事その理しかるべし。なんのゆへ |
J16_0296A06: | ぞ。第十八の願に一切の諸行をえらひすてて。ただ |
J16_0296A07: | ひとへに念佛の一行をえらひとりて。往生の本願と |
J16_0296A08: | するや。答云。聖意はかりがたしたやすく解するに |
J16_0296A09: | あたはず。しかりといへどもいまこころみに二の義 |
J16_0296A10: | をもてこれを解せん。一には勝劣の義。二には難易 |
J16_0296A11: | の義也。初に勝劣といふは。念佛はこれすぐれ。餘 |
J16_0296A12: | 行は劣なり。ゆへいかんとなれば。名號はこれ萬德 |
J16_0296A13: | の歸する所也。しかればすなはち彌陀一佛のあらゆ |
J16_0296A14: | る四智三身十力四無畏等の一切の内證の功德。相好 |
J16_0296A15: | 光明説法利生等の一切の外用の功德。みなことこと |
J16_0296A16: | く阿彌陀佛の名號の中に攝在せり。かるがゆへに名 |
J16_0296A17: | 號の功德もともすぐれたりとす。餘行はしからず。 |
J16_0296B18: | をのをの一隅をまもる。ここをもて劣也とす。たと |
J16_0296B19: | へば世間の屋舍のごとし。その屋舍の名字の中には |
J16_0296B20: | 棟梁椽柱等の一切の家具を攝す。棟梁等の一一の名 |
J16_0296B21: | 字の中には。一切を攝することあたはず。これをも |
J16_0296B22: | てしりぬべし。しかればすなはち名號の功德は。餘 |
J16_0296B23: | の一切の功德にすぐれたり。故に劣をすてて。勝を |
J16_0296B24: | とりてもて本願とする歟。 |
J16_0296B25: | ●諸願ニ約シテトハ約ハ依約ノ心ナリ言心ハ諸願 |
J16_0296B26: | ハ皆麤惡ヲ捨テ善妙ヲトレリ其理モトモナリ今諸 |
J16_0296B27: | 願ノ例ニ依ルニ此願モ亦爾ヘシ而ルニ唯念佛ノ一 |
J16_0296B28: | 行ヲ取テ善妙ノ諸行ヲ捨ルコト道理ニアタルヘカ |
J16_0296B29: | ラストナリ答ノ意ノ曰是諸行ハ麤惡不淨ノ故ニ捨 |
J16_0296B30: | ルニハアラス但念佛ニ對スルニ麤劣難行ナリ故ニ |
J16_0296B31: | 今勝易ノ念佛ヲ取テ本願トスルトソ●一隅ヲマモ |
J16_0296B32: | ルトハ一方ノ片隅ハカリトゾ論語ノ述而ニ擧一 |
J16_0296B33: | 隅不以三隅反則不復也●家具ハ家ノ諸道具 |
J16_0296B34: | ナリ俗ニ食器ニ局テ家具ト云ハ總屬別名ナリ |