浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J16_0292A01: | なき專修の行者になりにけれは 本國にかへりて |
J16_0292A02: | は。自行化他のつとめ。念佛の外他事なかりけり。 |
J16_0292A03: | 其後は安居院の墓詣となづけて。毎年に上洛して。 |
J16_0292A04: | かの墳墓にぞまうでける。一期のあひだ念佛をこた |
J16_0292A05: | る事なくして。瑞相をあらはし。端坐合掌して。數 |
J16_0292A06: | 百遍の念佛をとなへ。殊勝の往生を遂にけり。子息 |
J16_0292A07: | 明心幼稚の程は。明圓か後家の尼。年ごとに安居院 |
J16_0292A08: | の墓詣をしけるが。明心成人の後は。年ごとに明心 |
J16_0292A09: | 上洛しけり。明心又兼日に往生の時日をさして。い |
J16_0292A10: | すにのぼりて念佛數百遍をとなへ。端坐合掌して往 |
J16_0292A11: | 生の素懷を遂にければ。其後は明心が子息明觀。毎 |
J16_0292A12: | 年上洛して墓詣をぞしける。この念佛衆は聖覺の舊 |
J16_0292A13: | 跡を。念佛の本所と仰崇しけるによりて。或年明觀 |
J16_0292A14: | 上洛の時。憲實法印の嫡弟憲基法印にのぞみ申樣。 |
J16_0292A15: | この念佛盡未來際退轉すべからざるよし僧衆の中に |
J16_0292A16: | 御下知を下さるべきよし申けるによりて。彌陀本願 |
J16_0292A17: | の念佛は。濁世末代の出離解脱の要法なるいはれ。 |
J16_0292B18: | 盡未來際退轉すへからさるよし。慇懃に書下されけ |
J16_0292B19: | れば。御下知の旨にまかせて。ひとへに本願をあふ |
J16_0292B20: | ぎ。念佛退轉あるまじきよし。僧衆等請文をささけ |
J16_0292B21: | 念佛いよいよねんごろなりければ。國中の貴賤歸敬 |
J16_0292B22: | の掌をあはせ。結縁のおもひふかし。天竺震旦我朝 |
J16_0292B23: | 三國のあひだに。多くの人師念佛の勸化をいたすと |
J16_0292B24: | いへども。いまだ夢の中の勸化をきかず。この法印 |
J16_0292B25: | の勸化。まことにめづらしく貴くも侍かな。 |
J16_0292B26: | ●憲實ハ聖覺法印孫弟隆承法印ノ眞弟也法印權大僧都トナル |
J16_0292B27: | 畫圖 |
J16_0292B28: | ●憲實ハ隆承ノ子ナレハ聖覺ノ孫弟ト云ベキニ嫡 |
J16_0292B29: | 弟トアルハ祖父聖覺ノ弟子トシテ唱導ノ家業ヲバ |
J16_0292B30: | 此人嗣レケルニヤシカモ其子細知ガタシ若ハ隆承 |
J16_0292B31: | 其器嫡嗣トスルニ堪ザル歟サレバニヤ憲實憲基ハ |
J16_0292B32: | 和歌ノ諸集續古今以下ニモ其詠往往ニ載ラレ唱導ノ勤 |
J16_0292B33: | アリシモ諸記增鏡等ノ中ニ少少所見アリ隆承ニヲキ |
J16_0292B34: | テハイマダ如此ナラズ若竹林房相承次第ニ准セ |