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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0306A01: 若怨に報ふに德を以せば。德に報ふには何を以せん。
J09_0306A02: 故に怨に報ふには直を以し。德に報ふには德を以て
J09_0306A03: すべしと。敎ゆれども。佛敎は是と異に。仇に報ふに
J09_0306A04: 德を以てせよと敎ゆ。若怨に報ふに怨を以てすると
J09_0306A05: きは。生生に其怨盡ることなければなり。此こと大師の御
J09_0306A06: 父時國公。死門にのぞみて。大師に遺言し給ふこと。上
J09_0306A07: に述るが如し。又世出兩敎の優劣は。鶴林玉露にも辨
J09_0306A08: じたれば。見るべし。爾るに今梅香法尼。後鳥羽君
J09_0306A09: 臣の。權者を流刑し給ふ大罪に依て。惡趣の苦報を
J09_0306A10: 受給はんことを憐み。悲泣時を移し。數日回向せられ
J09_0306A11: たること。佛菩薩の大悲に等しき心操。感ずるに餘りあ
J09_0306A12: るをや。人人も此梅香尼の。心操にならふべし。さ
J09_0306A13: すれば佛意に叶ひて。念佛增進はもとより。人に對
J09_0306A14: しても。瞋恨の罪を。造らざればなり。
J09_0306A15: 又大師。一人の弟子に對して。一向專念の義をのべ
J09_0306A16: 玉ふに。御弟子西阿彌陀佛推參して。かくの如きの
J09_0306A17: 御義。ゆめゆめあるべからずと申ければ。大師の玉
J09_0306B18: はく。汝經釋の文を見ずやと。
J09_0306B19: 敎を乞ふ人の爲には。身命財を捨てて。法を説けと
J09_0306B20: ある經釋なり。
J09_0306B21: 西阿申さく經釋の文はしかりと云へども。世間の譏
J09_0306B22: 嫌を存ずる計なりと。大師の玉はく。我たとひ死刑
J09_0306B23: に行はるとも。此こと云はすばあるべからずと。
J09_0306B24: 至誠の色もとも切なり。見たてまつる人。皆涙をぞ
J09_0306B25: 流しける。
J09_0306B26: 大師。天子の逆鱗を恐れず。死刑に逢ふをも顧
J09_0306B27: み玉はず。御身を法の爲に捨玉ふは。皆是御滅後
J09_0306B28: の。我人を憐愍覆護して。生死を離れ。往生の大益
J09_0306B29: を。與へ玉ふの大悲なり。爾るに今時。大師の流れ
J09_0306B30: を汲むと名乘る中に。時代ごかし。譏嫌ごかしに。
J09_0306B31: 雜行をも簡ばず。祈禱をも斥はず。邪義邪勸を糺す
J09_0306B32: ことを。忌む者あり。是皆身命財の三を。求め執す
J09_0306B33: るより發れり。大師蓮臺より。云何が知見し玉は
J09_0306B34: んや。勘考して見るべし。

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