浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0306A01: | 若怨に報ふに德を以せば。德に報ふには何を以せん。 |
J09_0306A02: | 故に怨に報ふには直を以し。德に報ふには德を以て |
J09_0306A03: | すべしと。敎ゆれども。佛敎は是と異に。仇に報ふに |
J09_0306A04: | 德を以てせよと敎ゆ。若怨に報ふに怨を以てすると |
J09_0306A05: | きは。生生に其怨盡ることなければなり。此こと大師の御 |
J09_0306A06: | 父時國公。死門にのぞみて。大師に遺言し給ふこと。上 |
J09_0306A07: | に述るが如し。又世出兩敎の優劣は。鶴林玉露にも辨 |
J09_0306A08: | じたれば。見るべし。爾るに今梅香法尼。後鳥羽君 |
J09_0306A09: | 臣の。權者を流刑し給ふ大罪に依て。惡趣の苦報を |
J09_0306A10: | 受給はんことを憐み。悲泣時を移し。數日回向せられ |
J09_0306A11: | たること。佛菩薩の大悲に等しき心操。感ずるに餘りあ |
J09_0306A12: | るをや。人人も此梅香尼の。心操にならふべし。さ |
J09_0306A13: | すれば佛意に叶ひて。念佛增進はもとより。人に對 |
J09_0306A14: | しても。瞋恨の罪を。造らざればなり。 |
J09_0306A15: | 又大師。一人の弟子に對して。一向專念の義をのべ |
J09_0306A16: | 玉ふに。御弟子西阿彌陀佛推參して。かくの如きの |
J09_0306A17: | 御義。ゆめゆめあるべからずと申ければ。大師の玉 |
J09_0306B18: | はく。汝經釋の文を見ずやと。 |
J09_0306B19: | 敎を乞ふ人の爲には。身命財を捨てて。法を説けと |
J09_0306B20: | ある經釋なり。 |
J09_0306B21: | 西阿申さく經釋の文はしかりと云へども。世間の譏 |
J09_0306B22: | 嫌を存ずる計なりと。大師の玉はく。我たとひ死刑 |
J09_0306B23: | に行はるとも。此こと云はすばあるべからずと。 |
J09_0306B24: | 至誠の色もとも切なり。見たてまつる人。皆涙をぞ |
J09_0306B25: | 流しける。 |
J09_0306B26: | 大師。天子の逆鱗を恐れず。死刑に逢ふをも顧 |
J09_0306B27: | み玉はず。御身を法の爲に捨玉ふは。皆是御滅後 |
J09_0306B28: | の。我人を憐愍覆護して。生死を離れ。往生の大益 |
J09_0306B29: | を。與へ玉ふの大悲なり。爾るに今時。大師の流れ |
J09_0306B30: | を汲むと名乘る中に。時代ごかし。譏嫌ごかしに。 |
J09_0306B31: | 雜行をも簡ばず。祈禱をも斥はず。邪義邪勸を糺す |
J09_0306B32: | ことを。忌む者あり。是皆身命財の三を。求め執す |
J09_0306B33: | るより發れり。大師蓮臺より。云何が知見し玉は |
J09_0306B34: | んや。勘考して見るべし。 |