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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0305A01: ず。御親子五ツ方。遠所に移され玉ふ。日本開闢已
J09_0305A02: 來。かくの如きの逆亂はなきことなり。冥罰怖るべき
J09_0305A03: に非やされども此は是現世の華報未來惡趣の果報
J09_0305A04: は。彌痛むべきかぎりにこそ。
J09_0305A05: 此こと又大師前知の御遺言のみに非ず。後鳥羽法皇。建
J09_0305A06: 曆元年夏の比。石淸水八幡宮へ。御參詣ありし時。
J09_0305A07: 大神巫女に託して曰。近代君くらく。臣まがりて政
J09_0305A08: にごり。人うれふ。王城の鎭守。百王の宗廟。連連に
J09_0305A09: 評定のことあり。天下逆亂し。卒土荒廢せん。定めて
J09_0305A10: 後悔あらんかと。又同年七月の比法皇の御夢に。蓮
J09_0305A11: 華王院に御參りありけるに。衲衣を著せる高僧。ち
J09_0305A12: かづき參じて奏して云。法然房は故法皇後白河院ならび
J09_0305A13: に高倉先帝の。圓戒の御師範なり。德賢聖にひとし
J09_0305A14: く。益當今にあまねし。君大聖の權化をもて。還俗配
J09_0305A15: 流の罪に處す。咎五逆に同し苦報怖れざらんやと云
J09_0305A16: を夢感し給へり。見つべし。大師の遺命。八幡宮の
J09_0305A17: 託宣。高僧の諫奏等。符節を合せしが如し。凡そ念
J09_0305B18: 佛の行者に。大師の御流刑を嘆ざる者はなけれども。
J09_0305B19: 此流刑に處し玉ふ。天子及び讒臣の。後の報を憐む
J09_0305B20: は。至て少なきに。其人あれば示べし。春譽梅香法
J09_0305B21: 尼と云は。江州彥根の家臣。木俣守定の妻にて。其
J09_0305B22: 性純謹にして。忿嫉の念なく。十一歳にして。日課
J09_0305B23: 千聲を誓ひ。後三萬に轉じ。老て十萬を修す。され
J09_0305B24: ば平生よりしばしば好相奇瑞を感見して。大往生せ
J09_0305B25: し人なり。生平には御傳語燈錄三部の假名鈔を拜見
J09_0305B26: して。心行を策勵せられけるが。中に於て。御傳の中。
J09_0305B27: 後鳥羽帝。大師を流刑に處し玉ふ下に至るときは。
J09_0305B28: 書を置て悲泣時を移し。漸く涙を押へて云。大師は
J09_0305B29: 是大聖の權化なり。爾るを。帝讒臣の辭を信じ。勿
J09_0305B30: 躰なくも流刑に處し給ふ。痛ましひ哉。君臣決して
J09_0305B31: 惡趣の苦報を受給はん。願くは佛の神力。逆縁を捨
J09_0305B32: ず。その重罪を轉じて。淨土に接引し給へと。數日
J09_0305B33: 稱佛迴願せられけるとなん。實に感心に堪たり。夫
J09_0305B34: 世敎と佛敎の。心操を立るに異なることは。世敎は。

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