浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0304A01: | を蒙る貴賤。往生の本懷を望む道俗。嘆き悲むこと。 |
J09_0304A02: | たとへをとるに物なし。門弟等嘆きあへる中に。法蓮 |
J09_0304A03: | 房申されけるは。住蓮安樂は罪科せられぬ。御流罪 |
J09_0304A04: | は一向專修興行の故と云。然るに老邁の御身遼遠の |
J09_0304A05: | 海波に趣きましまさば。御命安全ならじ。我等恩顏 |
J09_0304A06: | を拜し。嚴旨を承ることあるべかず。又師匠流刑の罪 |
J09_0304A07: | にふし給はば。殘り止まる門弟。面目あらんや。且 |
J09_0304A08: | は敕命なり。一向專修の興行。止むべきよし奏し給 |
J09_0304A09: | ひて。内内御化導有べくや侍らんと。申されけるに。 |
J09_0304A10: | 大師の給はく。流刑さらに恨とすべからず。其故は。 |
J09_0304A11: | 齡すでに八旬にせまりぬ。たとひ同じ都に住するも。 |
J09_0304A12: | 娑婆の離別。ちかきにあるべし。たとひ山海を隔つ |
J09_0304A13: | とも。淨土の再會。なんぞ疑はん。又厭ふとも存る |
J09_0304A14: | は人の身なり。惜むとも。死るは人の命なり。何ぞ |
J09_0304A15: | 必しも所によらんや。しかのみならず。念佛の興行。 |
J09_0304A16: | 京師にして年久し。四十三の御年より七十五の御年まで中間三十二年邊鄙に趣き |
J09_0304A17: | て。田夫野人を勸めんこと。年來の本意なり。然れど |
J09_0304B18: | も。時至らずして。素意いまだはたさず。今事の縁 |
J09_0304B19: | によりて。年來の本意を遂んこと。頗る朝恩とも云べ |
J09_0304B20: | し。此法の弘通は人とどめんとすとも。法さらにと |
J09_0304B21: | どまるべからず。諸佛濟度の誓ひ深く。冥衆護持の |
J09_0304B22: | 約ねんごろなり。然れば何ぞ世間の譏嫌をはばかり |
J09_0304B23: | て。經釋の素意をかくすべきや。ただしいたむ所は。 |
J09_0304B24: | 源空が興ずる淨土の法門は。濁世末代の衆生の。決 |
J09_0304B25: | 定出離の要道なるが故に。常隨守護の神祇冥道。定め |
J09_0304B26: | て無道の障難を咎め給はん歟。命あらん輩。因果のむ |
J09_0304B27: | なしからざることを。思ひ合すべしと。仰られける。 |
J09_0304B28: | 大師の仰に。因果のむなしからざることを思ひ合 |
J09_0304B29: | すべしと。仰られたるが。御流罪よりは十五ケ年目 |
J09_0304B30: | 御遷化よりは十ケ年目。承久三年秋七月。北條泰 |
J09_0304B31: | 時が計ひにて。本院後鳥羽院は隱岐の國。中院土 |
J09_0304B32: | 御門院は後鳥羽院第一の皇子佐渡の國。新院順德院は後鳥羽院第三の皇子 |
J09_0304B33: | 佐渡の國六條の宮雅成親王は後鳥羽院第二の皇子伹馬の國冷 |
J09_0304B34: | 泉の宮賴仁親王は後鳥羽院第四の皇子備前の國へ。水も交へ |