浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0303A01: | 哉。决定三塗に沉むべき。皆や此方が。此御遺言に |
J09_0303A02: | 順ふ計で。やすやすと三塗を離れ。直に聖位にのぼ |
J09_0303A03: | ること。實に本迹符節を合せたる御利益。ありがたき |
J09_0303A04: | 限にこそ。 |
J09_0303A05: | 從來談ずる御遺誓は。決定墮獄の我人を。打て替つ |
J09_0303A06: | て報身報土へ。往生遂しめ給ふ。御敎示なれば。た |
J09_0303A07: | とひ難修難行なりとも。修行すべきことなるに。此御 |
J09_0303A08: | 遺訓には隨ひ易く。安心は立て易く。起行は修し易 |
J09_0303A09: | く往生は至て遂げ易すければ。此勝易の二義を兼備 |
J09_0303A10: | ふる御遺訓に歸入せずんば。何れの敎に歸入せんや。 |
J09_0303A11: | 云何が安心は立て易き。惡趣に墮して。苦しむはい |
J09_0303A12: | や。樂みずくめの。極樂に。往生遂たひと。思ふ心 |
J09_0303A13: | さへあれば。助け給への安心は。至て立て易きな |
J09_0303A14: | り。云何が起行は修し易き。行住座臥の。四威儀 |
J09_0303A15: | をえらばず。身の淨不淨。心の亂不亂を云はず。 |
J09_0303A16: | 唯口に唱ふる名號なれば。至て唱へ易きなり。云 |
J09_0303A17: | 何が往生し易き。我力でする往生ならば。覺束な |
J09_0303B18: | 氣もあらんなれども。佛の大悲本願の他力で遂 |
J09_0303B19: | る往生なれば。少しの苦勞もあることなく。至て往 |
J09_0303B20: | 生遂げ易きなり。爾れば。安心は立て易く起行は修 |
J09_0303B21: | し易く。往生は遂げ易く。實にやすらかなることの最 |
J09_0303B22: | 上。是より易きはあるべからず。されども。斯くや |
J09_0303B23: | すらかに。仕あげ給ふ迄の。元祖大師の御苦勞は。 |
J09_0303B24: | いか計とか知るや。抑大師九つの御年より。四十三 |
J09_0303B25: | 歳に至らせ給ふ迄に。此法門を見立て給ふ。御苦勞 |
J09_0303B26: | は云もさらなり。別開御弘通の御艱難は。述べ盡さ |
J09_0303B27: | るる限りに非ず今其恩分を思ひ知る爲に。御流刑。 |
J09_0303B28: | 及び御入滅の。御傳文の大意を。撮て辨示すべし。 |
J09_0303B29: | 餘は凖へて知るべし。大師御開創の。淨土專修の敎 |
J09_0303B30: | 勸盛んにして。人多く生死を出離し。極樂往生を遂 |
J09_0303B31: | るが故に。天魔竸ひ來て。住蓮安樂は。死刑に行は |
J09_0303B32: | れ。南都北嶺の憤り猶止まず。追追讒訴に及び。弟 |
J09_0303B33: | 子の科を師匠の大師に課せて。すでに度縁を召上げ。 |
J09_0303B34: | 遠流の科に定め。土佐の國へ趣き給ふ。大師の敎化 |