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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0302A01: 押は名を草に書たるなり。花押の上には。姓を書こと
J09_0302A02: なるを。今の世に誤りて。名乘を書なり。庭訓など
J09_0302A03: 見るべし。今の世は。官人面面に私印を用ゆ。官印
J09_0302A04: なき故なり。古は官印あり。一官府に。一ならでは
J09_0302A05: なし。官の文書は。皆物かき役の書くことにて。名乘
J09_0302A06: 計を。面面に草にて後に書くを。花押と云なりと
J09_0302A07: 云へり。
J09_0302A08: 抑元祖大師の御本地を云に。二説あり。一に彌陀如
J09_0302A09: 來の埀迹と云ひ。二には勢至菩薩の埀迹と云ふ。二
J09_0302A10: 説あれども。終成一意なり。其故は。彌陀の智慧を
J09_0302A11: 司り給ふ勢至なれば。彌陀を離れたる勢至なく。勢
J09_0302A12: 至を離れたる彌陀も在さねば。彌陀即勢至。勢至即
J09_0302A13: 彌陀にして。一躰の二名なる故。彌陀の垂迹と感見
J09_0302A14: して。利益ある人の爲には。彌陀と感見せしめ。勢
J09_0302A15: 至の應現と信じて。利益ある人の爲には。勢至と自
J09_0302A16: 稱し給へるなり。爾るに。今專ら勢至の應現の説に
J09_0302A17: よることは。敕修御傳中。最初乳母のたづねに答へて。
J09_0302B18: 我は勢至と答玉へる故。勢至丸と號け奉りしより初
J09_0302B19: めて。御入滅迄に其本地を顯し玉ふこと。度度なれば。
J09_0302B20: 一一爰に擧盡し難し。中に於て。御弟子勝法房。大師
J09_0302B21: の眞影を寫し。其銘を願はれければ。我本因地以念
J09_0302B22: 佛心入無生忍今於此界攝念佛人歸於淨土
J09_0302B23: と楞嚴經の。勢至圓通章の文を書し玉へり。或人の
J09_0302B24: 願ひし時も。如上又讃州生福寺に住し玉ひし時。勢
J09_0302B25: 至菩薩の像を御自作ありて。法然本地身。大勢至菩
J09_0302B26: 薩爲度衆生故顯置此道塲と記し玉へり。かくの
J09_0302B27: 如く時によりて本地をあらはし給ふは。御弘敎の旨
J09_0302B28: を。信受せしめんが爲なり。爾れば人人此御法語に
J09_0302B29: 隨へば。直に右脇の大士。大勢至の御指南に依て。
J09_0302B30: 本願念佛の安心起行を。心得たると云ものなり。豈
J09_0302B31: 貴き極りに非や。元より此菩薩は彌陀如來の智慧を
J09_0302B32: 司り玉ふ故。光明勝れ玉へば。無邊光とも申し上る。
J09_0302B33: 智慧は因光明は果以智慧光普照一切令離三塗得無上
J09_0302B34: 力是故號此菩薩名大勢至。と誠に金言誠諦なる

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