浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0302A01: | 押は名を草に書たるなり。花押の上には。姓を書こと |
J09_0302A02: | なるを。今の世に誤りて。名乘を書なり。庭訓など |
J09_0302A03: | 見るべし。今の世は。官人面面に私印を用ゆ。官印 |
J09_0302A04: | なき故なり。古は官印あり。一官府に。一ならでは |
J09_0302A05: | なし。官の文書は。皆物かき役の書くことにて。名乘 |
J09_0302A06: | 計を。面面に草にて後に書くを。花押と云なりと |
J09_0302A07: | 云へり。 |
J09_0302A08: | 抑元祖大師の御本地を云に。二説あり。一に彌陀如 |
J09_0302A09: | 來の埀迹と云ひ。二には勢至菩薩の埀迹と云ふ。二 |
J09_0302A10: | 説あれども。終成一意なり。其故は。彌陀の智慧を |
J09_0302A11: | 司り給ふ勢至なれば。彌陀を離れたる勢至なく。勢 |
J09_0302A12: | 至を離れたる彌陀も在さねば。彌陀即勢至。勢至即 |
J09_0302A13: | 彌陀にして。一躰の二名なる故。彌陀の垂迹と感見 |
J09_0302A14: | して。利益ある人の爲には。彌陀と感見せしめ。勢 |
J09_0302A15: | 至の應現と信じて。利益ある人の爲には。勢至と自 |
J09_0302A16: | 稱し給へるなり。爾るに。今專ら勢至の應現の説に |
J09_0302A17: | よることは。敕修御傳中。最初乳母のたづねに答へて。 |
J09_0302B18: | 我は勢至と答玉へる故。勢至丸と號け奉りしより初 |
J09_0302B19: | めて。御入滅迄に其本地を顯し玉ふこと。度度なれば。 |
J09_0302B20: | 一一爰に擧盡し難し。中に於て。御弟子勝法房。大師 |
J09_0302B21: | の眞影を寫し。其銘を願はれければ。我本因地以念 |
J09_0302B22: | 佛心入無生忍今於此界攝念佛人歸於淨土 |
J09_0302B23: | と楞嚴經の。勢至圓通章の文を書し玉へり。或人の |
J09_0302B24: | 願ひし時も。如上又讃州生福寺に住し玉ひし時。勢 |
J09_0302B25: | 至菩薩の像を御自作ありて。法然本地身。大勢至菩 |
J09_0302B26: | 薩爲度衆生故顯置此道塲と記し玉へり。かくの |
J09_0302B27: | 如く時によりて本地をあらはし給ふは。御弘敎の旨 |
J09_0302B28: | を。信受せしめんが爲なり。爾れば人人此御法語に |
J09_0302B29: | 隨へば。直に右脇の大士。大勢至の御指南に依て。 |
J09_0302B30: | 本願念佛の安心起行を。心得たると云ものなり。豈 |
J09_0302B31: | 貴き極りに非や。元より此菩薩は彌陀如來の智慧を |
J09_0302B32: | 司り玉ふ故。光明勝れ玉へば。無邊光とも申し上る。 |
J09_0302B33: | 智慧は因光明は果以智慧光普照一切令離三塗得無上 |
J09_0302B34: | 力是故號此菩薩名大勢至。と誠に金言誠諦なる |