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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0301A01: よりより勸め玉へども。更に是を旨ひ玉はず。終に
J09_0301A02: 十八歳にして師席を辭し。西塔の慈眼房叡空の室に
J09_0301A03: 至り玉ひ幼稚の昔より成人の今に至る迄。父の遺言
J09_0301A04: 忘れ難くして。隱遁の心深きよし語り玉へば。
J09_0301A05: 父の遺言とは。敕修御傳に云。時國ふかき疵をかう
J09_0301A06: ふりて。死門に臨むとき。九歳の小兒にむかひてい
J09_0301A07: はく。汝さらに會稽の耻を思ひ。敵人をうらむる事
J09_0301A08: なかれ。これ偏に先世の宿業なり。もし遺恨をむす
J09_0301A09: ばは。そのあだ世世につきがたかるべし。しかじ。
J09_0301A10: はやく俗をのがれ家を出て。我菩提をとふらひ。み
J09_0301A11: づからの解脱を求んにはといひて。端座して西に
J09_0301A12: 向ひ。合掌して佛を念し。眠るが如くして息絶に
J09_0301A13: けりとあるを云なり。
J09_0301A14: 叡空上人感嘆し玉ひ。少年にして早く出離の心を發
J09_0301A15: せり。實に是法然道理のひじりなりとて。法然房と
J09_0301A16: 號し。實名をば源光の上の字と。叡空の下の字をと
J09_0301A17: りて源空となづけ玉へり。
J09_0301B18: 爾るに。一説に。選擇之傳受戒已後童名を呼ぶべき道理
J09_0301B19: なければ。直に源空とこそ申たるらん。叡空の室に
J09_0301B20: 入ては法然房と授らる。源空の字の二師の名字に
J09_0301B21: 合するは。只是不測の靈感なりとあれども。十卷傳
J09_0301B22: には。受戒して圓明房善弘と號せらるとあり。此
J09_0301B23: 説別書に見へざれども強に非すべからず。源空の
J09_0301B24: 名を。叡空上人のなづけ玉へるとは。十六門記。
J09_0301B25: 秘傳鈔等一同なれば。是を正とすべし。又龍樹菩
J09_0301B26: 薩の菩提心論云。妄心若起知勿隨妄若息時心源空
J09_0301B27: 寂萬德斯具妙用無窮と云文を引合することあれど
J09_0301B28: も鑿説なり聖敎廣し。求めば其外にもあるべけれ
J09_0301B29: ばなり。
J09_0301B30: 御華押。上に手印ある上に。又華押迄を添玉へり。
J09_0301B31: 華押の説。諸書に多し。中に於て其一を擧ば。徂徠
J09_0301B32: が南留邊志の一に云。花押を判と云は判署と云こと
J09_0301B33: のあるを取り違へたるなり。判と云は。日をあけ置
J09_0301B34: て。後に書加るを云。署と云は。今の名はんなり。花

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