浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0301A01: | よりより勸め玉へども。更に是を旨ひ玉はず。終に |
J09_0301A02: | 十八歳にして師席を辭し。西塔の慈眼房叡空の室に |
J09_0301A03: | 至り玉ひ幼稚の昔より成人の今に至る迄。父の遺言 |
J09_0301A04: | 忘れ難くして。隱遁の心深きよし語り玉へば。 |
J09_0301A05: | 父の遺言とは。敕修御傳に云。時國ふかき疵をかう |
J09_0301A06: | ふりて。死門に臨むとき。九歳の小兒にむかひてい |
J09_0301A07: | はく。汝さらに會稽の耻を思ひ。敵人をうらむる事 |
J09_0301A08: | なかれ。これ偏に先世の宿業なり。もし遺恨をむす |
J09_0301A09: | ばは。そのあだ世世につきがたかるべし。しかじ。 |
J09_0301A10: | はやく俗をのがれ家を出て。我菩提をとふらひ。み |
J09_0301A11: | づからの解脱を求んにはといひて。端座して西に |
J09_0301A12: | 向ひ。合掌して佛を念し。眠るが如くして息絶に |
J09_0301A13: | けりとあるを云なり。 |
J09_0301A14: | 叡空上人感嘆し玉ひ。少年にして早く出離の心を發 |
J09_0301A15: | せり。實に是法然道理のひじりなりとて。法然房と |
J09_0301A16: | 號し。實名をば源光の上の字と。叡空の下の字をと |
J09_0301A17: | りて源空となづけ玉へり。 |
J09_0301B18: | 爾るに。一説に。選擇之傳受戒已後童名を呼ぶべき道理 |
J09_0301B19: | なければ。直に源空とこそ申たるらん。叡空の室に |
J09_0301B20: | 入ては法然房と授らる。源空の字の二師の名字に |
J09_0301B21: | 合するは。只是不測の靈感なりとあれども。十卷傳 |
J09_0301B22: | には。受戒して圓明房善弘と號せらるとあり。此 |
J09_0301B23: | 説別書に見へざれども強に非すべからず。源空の |
J09_0301B24: | 名を。叡空上人のなづけ玉へるとは。十六門記。 |
J09_0301B25: | 秘傳鈔等一同なれば。是を正とすべし。又龍樹菩 |
J09_0301B26: | 薩の菩提心論云。妄心若起知勿隨妄若息時心源空 |
J09_0301B27: | 寂萬德斯具妙用無窮と云文を引合することあれど |
J09_0301B28: | も鑿説なり聖敎廣し。求めば其外にもあるべけれ |
J09_0301B29: | ばなり。 |
J09_0301B30: | 御華押。上に手印ある上に。又華押迄を添玉へり。 |
J09_0301B31: | 華押の説。諸書に多し。中に於て其一を擧ば。徂徠 |
J09_0301B32: | が南留邊志の一に云。花押を判と云は判署と云こと |
J09_0301B33: | のあるを取り違へたるなり。判と云は。日をあけ置 |
J09_0301B34: | て。後に書加るを云。署と云は。今の名はんなり。花 |