浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0300A01: | も守り。信じても猶信じ。寒蟬枯木を抱きて。よべど |
J09_0300A02: | も。更に首を回らさずと云如く。脇目をふらず。一筋 |
J09_0300A03: | に唯往生極樂の爲に。南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛と唱ふべし。 |
J09_0300A04: | 是を大師の御遺誓を。信受し奉りし。順次决定往生の |
J09_0300A05: | 行者と云なり。已上大段六科の第五總結の科を畢。 |
J09_0300A06: | 建曆二年正月廿三日源空御華押 |
J09_0300A07: | 大科第六年號月日御撰號の段なり。 |
J09_0300A08: | 建曆は。人王八十四代順德院の年號。正月廿三日は。 |
J09_0300A09: | 御入滅より。中一日隔たる前日なり。大師既に御遷 |
J09_0300A10: | 化に臨んで。遺し玉へる大悲の賜。頂戴信受し奉ら |
J09_0300A11: | であらるべきや。 |
J09_0300A12: | 源空とは。大師の御諱則御實名にて。是は叡空上人 |
J09_0300A13: | より授與し玉ひしなり。大師御歳十五にして。初め |
J09_0300A14: | て持寳房源光の室に入玉ふに。其聰明拔群に在せば。 |
J09_0300A15: | 圓宗の奧義をきわめしめんとて。當時一山の雄才な |
J09_0300A16: | れば。肥後の阿闍梨皇圓のもとにつかはし玉ふに。 |
J09_0300A17: | 皇圓大師の英才なるを聞き。驚て云。去夜の夢に。 |
J09_0300B18: | 滿月室に入と見る。今此法器にあふべき前兆なりと |
J09_0300B19: | 悅び大形ならず。 |
J09_0300B20: | 月輪感夢のこと度度あり。九卷傳に。大師御託胎の |
J09_0300B21: | 時。御父時國。月輪を抱くと夢み給ひ。又御左遷 |
J09_0300B22: | の時。鹽飽入道西忍。月輪室に入の感夢あり。總し |
J09_0300B23: | て云はば。是大師の智慧圓明なるの表示。別して |
J09_0300B24: | 云はば。月輪は勢至の埀迹。大師も亦勢至の垂迹 |
J09_0300B25: | なれば。此義を顯すの義なるべし。 |
J09_0300B26: | 其年華髮を剃り。法衣を著し。登壇受戒し玉へり。 |
J09_0300B27: | 夫より出家の本意をとげぬれば。跡を林藪に遁れた |
J09_0300B28: | しと御師範へねがひ玉ふに。隱遁の志ありとも。先 |
J09_0300B29: | 三大部を學びてのこととの玉へば。閑居をねがうことは |
J09_0300B30: | ながく名利の望を止めて。閑に佛法を修學せん爲な |
J09_0300B31: | り。此仰せ實に爾なりとて。十六歳の春よりはじめ |
J09_0300B32: | て。三箇年を經て。三大部をわたり玉ひぬ。慧解天 |
J09_0300B33: | 然にして。立玉ふ義勢。師の敎にこゆる故。師範彌 |
J09_0300B34: | 感嘆し學道をつとめて。一宗の棟梁となり玉へと。 |