浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0299A01: | 若人有て稱名を行ずるとも。折折は觀念をもするが |
J09_0299A02: | よいと云ふときは。觀念の念にもあらずとあるにて |
J09_0299A03: | 防ぎ。又本願の來由。六字の具德等を知ねばと云は |
J09_0299A04: | ば。又學文をして念の心を悟りて申念佛にもあらず |
J09_0299A05: | とあるにて防ぎ。又現當兩益。二世安樂。祈念祈禱に |
J09_0299A06: | もせよと云はば。唯往生極樂の爲とあるにて防ぎ。又 |
J09_0299A07: | 念佛申すにも。威儀はどうして。心の用やうはなど |
J09_0299A08: | ど。むつかしきことを云はば。申外には別の子細なしと |
J09_0299A09: | あるにて防ぎ。若又餘のことは格別。三心四修は。知 |
J09_0299A10: | ねばならぬと云はば。伹し三心四修と申事の候は。皆 |
J09_0299A11: | 決定して南無阿彌陀佛と申内に籠るとあるにて防 |
J09_0299A12: | ぎ。若又夫は眞實の思召に非ずして。劣機を誘引し |
J09_0299A13: | 給ふ方便なりなど云はば。此外に奧深き事を存せば。 |
J09_0299A14: | 二尊の憐にはづれんと誓給へるにて防ぎ。猶強て愚 |
J09_0299A15: | 鈍の機は夫てよけれども學者は外に心得ありと云は |
J09_0299A16: | ば。たとひ一代の法をよくよく學すとも。一文不通 |
J09_0299A17: | の者と同じく。愚痴に還りて念佛すべし。とあるに |
J09_0299B18: | て防ぐなり。斯の如ク邪義邪勸を拂ふこと。縱橫自在な |
J09_0299B19: | る故に。滅後の邪義を防かんが爲に所存を記し畢ぬ。 |
J09_0299B20: | との玉へるなり。世間でさへ。智慧ある人は。死後 |
J09_0299B21: | の災を防くことあり。昔シ唐土吳魏蜀と。三國に分れた |
J09_0299B22: | る時。蜀の臣下に。義延と云勇士ありて。彼が項に |
J09_0299B23: | 疣ありしを軍師孔明是を相して今時彼者異心あるに |
J09_0299B24: | は非れども。後には必謀叛すべし其時に至らば。かや |
J09_0299B25: | うにして亡すべしと。遺策を封して殘せしが。孔明が |
J09_0299B26: | 前案に違はず。彼者叛心をあらはせしかば。彼遺策の |
J09_0299B27: | 指南によつて。やすやすと切害せしとなり。若義延が |
J09_0299B28: | 謀叛のとき。孔明が殘す囊を開かずば。忽ち彼を亡ぼ |
J09_0299B29: | すことはなるまじ。若念佛の行者邪義に出逢ひしとき。 |
J09_0299B30: | 此御遺誓によらずんば。邪勸の爲に引落さるべし。 |
J09_0299B31: | たとひ。孔明が遺策を用ひずして。國を亡し命を失 |
J09_0299B32: | ふとも。迷ヒの境界無常の命數なれば惜むに足らず。 |
J09_0299B33: | 若御遺誓を守らずして。邪義に惑はされなば。生生世 |
J09_0299B34: | 世三惡道に苦み。浮む期もなき一大事なれば。守りて |