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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0299A01: 若人有て稱名を行ずるとも。折折は觀念をもするが
J09_0299A02: よいと云ふときは。觀念の念にもあらずとあるにて
J09_0299A03: 防ぎ。又本願の來由。六字の具德等を知ねばと云は
J09_0299A04: ば。又學文をして念の心を悟りて申念佛にもあらず
J09_0299A05: とあるにて防ぎ。又現當兩益。二世安樂。祈念祈禱に
J09_0299A06: もせよと云はば。唯往生極樂の爲とあるにて防ぎ。又
J09_0299A07: 念佛申すにも。威儀はどうして。心の用やうはなど
J09_0299A08: ど。むつかしきことを云はば。申外には別の子細なしと
J09_0299A09: あるにて防ぎ。若又餘のことは格別。三心四修は。知
J09_0299A10: ねばならぬと云はば。伹し三心四修と申事の候は。皆
J09_0299A11: 決定して南無阿彌陀佛と申内に籠るとあるにて防
J09_0299A12: ぎ。若又夫は眞實の思召に非ずして。劣機を誘引し
J09_0299A13: 給ふ方便なりなど云はば。此外に奧深き事を存せば。
J09_0299A14: 二尊の憐にはづれんと誓給へるにて防ぎ。猶強て愚
J09_0299A15: 鈍の機は夫てよけれども學者は外に心得ありと云は
J09_0299A16: ば。たとひ一代の法をよくよく學すとも。一文不通
J09_0299A17: の者と同じく。愚痴に還りて念佛すべし。とあるに
J09_0299B18: て防ぐなり。斯の如ク邪義邪勸を拂ふこと。縱橫自在な
J09_0299B19: る故に。滅後の邪義を防かんが爲に所存を記し畢ぬ。
J09_0299B20: との玉へるなり。世間でさへ。智慧ある人は。死後
J09_0299B21: の災を防くことあり。昔シ唐土吳魏蜀と。三國に分れた
J09_0299B22: る時。蜀の臣下に。義延と云勇士ありて。彼が項に
J09_0299B23: 疣ありしを軍師孔明是を相して今時彼者異心あるに
J09_0299B24: は非れども。後には必謀叛すべし其時に至らば。かや
J09_0299B25: うにして亡すべしと。遺策を封して殘せしが。孔明が
J09_0299B26: 前案に違はず。彼者叛心をあらはせしかば。彼遺策の
J09_0299B27: 指南によつて。やすやすと切害せしとなり。若義延が
J09_0299B28: 謀叛のとき。孔明が殘す囊を開かずば。忽ち彼を亡ぼ
J09_0299B29: すことはなるまじ。若念佛の行者邪義に出逢ひしとき。
J09_0299B30: 此御遺誓によらずんば。邪勸の爲に引落さるべし。
J09_0299B31: たとひ。孔明が遺策を用ひずして。國を亡し命を失
J09_0299B32: ふとも。迷ヒの境界無常の命數なれば惜むに足らず。
J09_0299B33: 若御遺誓を守らずして。邪義に惑はされなば。生生世
J09_0299B34: 世三惡道に苦み。浮む期もなき一大事なれば。守りて

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