浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0298A01: | て。此信心の發りたるとき。往生相濟たりと。辨ず |
J09_0298A02: | るを聞て。在座の者。皆感涙にむせべりと語る。 |
J09_0298A03: | ああ痛ましい哉一念の邪徒。外には兩祖大師を信順 |
J09_0298A04: | するやうに見せて。内には其御所立を破壞し。唯信 |
J09_0298A05: | 心呼ばりをなして。起行は自力と忌み嫌ひ。人を邪 |
J09_0298A06: | 坑に陷らしむ。彼が所立は。片羽の鳥は空中に翔り。 |
J09_0298A07: | 片輪車は運送に堪たりと云が如し。導師の願孤行孤 |
J09_0298A08: | 無所至の御釋。大師の今淨土宗の安心起行。此一紙 |
J09_0298A09: | に至極せり。と仰られたるをば。云何が解するや。さ |
J09_0298A10: | れども。此は是一往。再往云ふときは。彼が云安心 |
J09_0298A11: | と云は邪信にして正信に非ず。一念歸命の時に。往生 |
J09_0298A12: | 相濟と云こと。經説祖釋に。いづこにありや。剋して |
J09_0298A13: | 云ときは。彼が所立は。願孤行孤の微善もなく。無願 |
J09_0298A14: | 無行の大邪立なれば。見聞を愼み怖れて。百由旬去 |
J09_0298A15: | るべきなり。 |
J09_0298A16: | 從來講説の本文。一篇に淨土門の安心起行をしるし |
J09_0298A17: | て別の子細候はずとの玉ひ。今又總結に至て。全く |
J09_0298B18: | 別義を存せずと。斯叮嚀に御遺屬なし玉ふは大師御 |
J09_0298B19: | 在世の内より。妄語誑惑の邪徒ありて。其虚説を文 |
J09_0298B20: | るに。我より傳へし深義とののしり。衆生を惑はし。 |
J09_0298B21: | 往生の道を塞く故。滅後は彌邪説を募るべし。夫が邪 |
J09_0298B22: | 正を知る爲の龜鏡にそなへよとて。滅後の邪義を防 |
J09_0298B23: | かんが爲に。所存を記し畢。としるし玉へるなり。 |
J09_0298B24: | 其滅後の邪義とは。要を撮て云に。安心に就ては。往 |
J09_0298B25: | 生するぞと思ひ取と云より外に。六かしきことを云ひ。 |
J09_0298B26: | 起行に就ては。唯念佛するより外に種種の事をすす |
J09_0298B27: | むるを邪義と云。是等の邪妨邪難を防ぎ玉ふなり。 |
J09_0298B28: | 防ぐとは彼用水桶をおくは。火を防く用心なり。今 |
J09_0298B29: | も亦其如く此起請文を殘して。御滅後の皆や此方を。 |
J09_0298B30: | 邪義の類火にあはせまい爲に。我所存の所を記し置 |
J09_0298B31: | て。其防ぎに具ふるぞとなり。豈に辱き賜に非や。 |
J09_0298B32: | 夫に就ては。其防き樣を知べし。自由自在に防げる |
J09_0298B33: | なり。用水桶より汲み出し出しかくれは。火の防げ |
J09_0298B34: | る如く。此御遺誓を。よみさへすれば防けるとは。 |