ウィンドウを閉じる

J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0298A01: て。此信心の發りたるとき。往生相濟たりと。辨ず
J09_0298A02: るを聞て。在座の者。皆感涙にむせべりと語る。
J09_0298A03: ああ痛ましい哉一念の邪徒。外には兩祖大師を信順
J09_0298A04: するやうに見せて。内には其御所立を破壞し。唯信
J09_0298A05: 心呼ばりをなして。起行は自力と忌み嫌ひ。人を邪
J09_0298A06: 坑に陷らしむ。彼が所立は。片羽の鳥は空中に翔り。
J09_0298A07: 片輪車は運送に堪たりと云が如し。導師の願孤行孤
J09_0298A08: 無所至の御釋。大師の今淨土宗の安心起行。此一紙
J09_0298A09: に至極せり。と仰られたるをば。云何が解するや。さ
J09_0298A10: れども。此は是一往。再往云ふときは。彼が云安心
J09_0298A11: と云は邪信にして正信に非ず。一念歸命の時に。往生
J09_0298A12: 相濟と云こと。經説祖釋に。いづこにありや。剋して
J09_0298A13: 云ときは。彼が所立は。願孤行孤の微善もなく。無願
J09_0298A14: 無行の大邪立なれば。見聞を愼み怖れて。百由旬去
J09_0298A15: るべきなり。
J09_0298A16: 從來講説の本文。一篇に淨土門の安心起行をしるし
J09_0298A17: て別の子細候はずとの玉ひ。今又總結に至て。全く
J09_0298B18: 別義を存せずと。斯叮嚀に御遺屬なし玉ふは大師御
J09_0298B19: 在世の内より。妄語誑惑の邪徒ありて。其虚説を文
J09_0298B20: るに。我より傳へし深義とののしり。衆生を惑はし。
J09_0298B21: 往生の道を塞く故。滅後は彌邪説を募るべし。夫が邪
J09_0298B22: 正を知る爲の龜鏡にそなへよとて。滅後の邪義を防
J09_0298B23: かんが爲に。所存を記し畢。としるし玉へるなり。
J09_0298B24: 其滅後の邪義とは。要を撮て云に。安心に就ては。往
J09_0298B25: 生するぞと思ひ取と云より外に。六かしきことを云ひ。
J09_0298B26: 起行に就ては。唯念佛するより外に種種の事をすす
J09_0298B27: むるを邪義と云。是等の邪妨邪難を防ぎ玉ふなり。
J09_0298B28: 防ぐとは彼用水桶をおくは。火を防く用心なり。今
J09_0298B29: も亦其如く此起請文を殘して。御滅後の皆や此方を。
J09_0298B30: 邪義の類火にあはせまい爲に。我所存の所を記し置
J09_0298B31: て。其防ぎに具ふるぞとなり。豈に辱き賜に非や。
J09_0298B32: 夫に就ては。其防き樣を知べし。自由自在に防げる
J09_0298B33: なり。用水桶より汲み出し出しかくれは。火の防げ
J09_0298B34: る如く。此御遺誓を。よみさへすれば防けるとは。

ウィンドウを閉じる