浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0297A01: | 安心とは委く云へば。三心なれども。尅躰して云へ |
J09_0297A02: | ば助玉へと思ふの外はなく。起行は。南無阿彌陀佛 |
J09_0297A03: | と唱ふる迄なり。此心行あるときは。大悲本願の強 |
J09_0297A04: | 縁に依て。順次に初地の證位に至る。是を淨土宗の |
J09_0297A05: | 安心起行と云なり。則上の文に唯往生極樂の爲には |
J09_0297A06: | 南無阿彌陀佛と申て疑なく。往生するぞと思ひとり |
J09_0297A07: | て安心。申外には別の子細候はず起行。と仰られたる。是て |
J09_0297A08: | 淨土宗の。安心起行の底を盡す故。此一紙に至極せ |
J09_0297A09: | りと。の玉へり。既に至極せりとの玉ふ。何ぞ外に |
J09_0297A10: | 求むることあらんや。人人能考へ見るべし。同じ佛法に |
J09_0297A11: | 逢ふとも。聖道自力の法門に逢はば。彼立難き安心 |
J09_0297A12: | を。立ることを得んや。彼修し難き觀念を。成ずること |
J09_0297A13: | を得んや。爾らば。自力の法門に逢はば。逢ふて遇 |
J09_0297A14: | ひがひもなく。猶こりずまに。惡趣の苦みを受んに。 |
J09_0297A15: | 古へにいかなる契りありてかは。この立易き安心。 |
J09_0297A16: | 此行じ易き念佛の法門に。逢奉りしことぞと。歡喜の |
J09_0297A17: | 思ひに懈怠をとどめ。脇ひら見ず。念佛一行。すす |
J09_0297B18: | んで相續せらるべし。 |
J09_0297B19: | さて。此淨土宗の安心起行と。仰せられたる宗號を。 |
J09_0297B20: | 他宗は云はず。宗門にあり乍ら。義趣に闇き人多し。 |
J09_0297B21: | 夫淨土宗と云は。厭離穢土と此世を厭ひ。欣求淨土と |
J09_0297B22: | 極樂を願ひ。本願念佛一行を修し。順次に淨土往生 |
J09_0297B23: | を遂ると立るを云なり。爾るに。唱ふる念佛を。現 |
J09_0297B24: | 當兩益。二世安樂。壽命長久。息災延命と。ふり向 |
J09_0297B25: | るときは。此は是現世宗にてこそあれ。何ぞ是を淨土 |
J09_0297B26: | 宗と云はん。而るを宗旨印形にも。先祖代代淨土宗 |
J09_0297B27: | に相違なしと云は。出世間法にては佛祖を欺き。 |
J09_0297B28: | 世間法にては公儀を僞る。有名無實の大誑惑と云べ |
J09_0297B29: | し。又安心起行と仰られたるは。願孤行孤無所至と |
J09_0297B30: | 云。導師の釋文によりて。願と行とは。鳥の兩翼。 |
J09_0297B31: | 車の兩輪。必ず具足すべきことをの玉へり。爾るに。此 |
J09_0297B32: | 頃ある俗士の云。據なき縁ありて。一念義の法談と |
J09_0297B33: | か云を聞くに。彼者負氣なく。大師の御遺誓を讃題 |
J09_0297B34: | として。此思ひとりてと。仰られたるが安心の所詮に |