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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0297A01: 安心とは委く云へば。三心なれども。尅躰して云へ
J09_0297A02: ば助玉へと思ふの外はなく。起行は。南無阿彌陀佛
J09_0297A03: と唱ふる迄なり。此心行あるときは。大悲本願の強
J09_0297A04: 縁に依て。順次に初地の證位に至る。是を淨土宗の
J09_0297A05: 安心起行と云なり。則上の文に唯往生極樂の爲には
J09_0297A06: 南無阿彌陀佛と申て疑なく。往生するぞと思ひとり
J09_0297A07: 安心。申外には別の子細候はず起行。と仰られたる。是て
J09_0297A08: 淨土宗の。安心起行の底を盡す故。此一紙に至極せ
J09_0297A09: りと。の玉へり。既に至極せりとの玉ふ。何ぞ外に
J09_0297A10: 求むることあらんや。人人能考へ見るべし。同じ佛法に
J09_0297A11: 逢ふとも。聖道自力の法門に逢はば。彼立難き安心
J09_0297A12: を。立ることを得んや。彼修し難き觀念を。成ずること
J09_0297A13: を得んや。爾らば。自力の法門に逢はば。逢ふて遇
J09_0297A14: ひがひもなく。猶こりずまに。惡趣の苦みを受んに。
J09_0297A15: 古へにいかなる契りありてかは。この立易き安心。
J09_0297A16: 此行じ易き念佛の法門に。逢奉りしことぞと。歡喜の
J09_0297A17: 思ひに懈怠をとどめ。脇ひら見ず。念佛一行。すす
J09_0297B18: んで相續せらるべし。
J09_0297B19: さて。此淨土宗の安心起行と。仰せられたる宗號を。
J09_0297B20: 他宗は云はず。宗門にあり乍ら。義趣に闇き人多し。
J09_0297B21: 夫淨土宗と云は。厭離穢土と此世を厭ひ。欣求淨土と
J09_0297B22: 極樂を願ひ。本願念佛一行を修し。順次に淨土往生
J09_0297B23: を遂ると立るを云なり。爾るに。唱ふる念佛を。現
J09_0297B24: 當兩益。二世安樂。壽命長久。息災延命と。ふり向
J09_0297B25: るときは。此は是現世宗にてこそあれ。何ぞ是を淨土
J09_0297B26: 宗と云はん。而るを宗旨印形にも。先祖代代淨土宗
J09_0297B27: に相違なしと云は。出世間法にては佛祖を欺き。
J09_0297B28: 世間法にては公儀を僞る。有名無實の大誑惑と云べ
J09_0297B29: し。又安心起行と仰られたるは。願孤行孤無所至と
J09_0297B30: 云。導師の釋文によりて。願と行とは。鳥の兩翼。
J09_0297B31: 車の兩輪。必ず具足すべきことをの玉へり。爾るに。此
J09_0297B32: 頃ある俗士の云。據なき縁ありて。一念義の法談と
J09_0297B33: か云を聞くに。彼者負氣なく。大師の御遺誓を讃題
J09_0297B34: として。此思ひとりてと。仰られたるが安心の所詮に

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