浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0296A01: | べし。爾るに。在家出家智者愚者の簡びなく。其身 |
J09_0296A02: | 其儘。濃くも薄くも往生の爲に。多くも少くも南無 |
J09_0296A03: | 阿彌陀佛と。唱へさへすれば。大師徹底の御隨自意た |
J09_0296A04: | る。此御遺誓を信决したる人なれば。此世にありて |
J09_0296A05: | は。人中の芬陀利華。上上妙好最勝人の嘉名を蒙り。 |
J09_0296A06: | 來迎の如來には。善男善女とほめ立られ。喜勇んで |
J09_0296A07: | 大往生遂ることなれば。必至と信して。此大利益を。受 |
J09_0296A08: | はづさぬやうにすべきなり。已上大段六科の。第四 |
J09_0296A09: | 手印の科を畢。 |
J09_0296A10: | 淨土宗の安心起行。此一紙に至極せり。源空が所 |
J09_0296A11: | 存。此外に全く別義を存せず。滅後の邪義を防か |
J09_0296A12: | んが爲に。所存を記し畢。 |
J09_0296A13: | 大科六段の。第五總結の科なり。 |
J09_0296A14: | 淨土宗の安心起行等とは。聖道諸宗の。安心起行に |
J09_0296A15: | ゑらび玉ふなり。聖道の意は。安心即起行となること |
J09_0296A16: | もある故。差別して得名することはなけれども。され |
J09_0296A17: | ども。此差別は必あるなり。其所以は。我に佛性あ |
J09_0296B18: | りて。佛に異なることなしと云所を。訖度信知する所 |
J09_0296B19: | は安心。其信知せし佛性をあらはすに。華嚴なれば |
J09_0296B20: | 法界唯心の觀。天台は三諦即是の觀。眞言は阿字本 |
J09_0296B21: | 不生の觀等を修するは是起行なり。されども。是三 |
J09_0296B22: | 學均等ならざれば。其修行の機にあたらざる。難行 |
J09_0296B23: | 道なれば。其安心もきつとすわるは。觀法成就の時 |
J09_0296B24: | でなければ立ず。而に此觀成豈容易ならんや。故に |
J09_0296B25: | 中下の機は觀成の望を斷ば。或は持呪或は讀誦。或 |
J09_0296B26: | は自餘の諸善をつとめて。近くは生生に修行を成じ。 |
J09_0296B27: | 遠くは龍華の會上に至て。面り佛の指麾を得て。成 |
J09_0296B28: | 就せんと期する。是等の自力門の。安心起行ではな |
J09_0296B29: | ひ。淨土宗の安心起行ぞとの玉ふ意なり。先此聖道の |
J09_0296B30: | 安心は立難く。起行は行じ難し。其所以は。末法に |
J09_0296B31: | 至りては。盡大地の衆生。皆十惡と定まりたる者を。 |
J09_0296B32: | 三覺圓滿の佛と等同にして。差別なしと信しやすか |
J09_0296B33: | らんや。昏沈掉擧の心を以。息慮凝心の觀念を成就 |
J09_0296B34: | することを得んや。思ふてしるべし。さて又淨土門の |