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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0286A01: 生するぞと思ひ取て。唯稱相續せらるべし。偖此立
J09_0286A02: 誓の義を。古今未曾有の大謬解をなしたるは。天台
J09_0286A03: の靈空律師なり。旁觀記と云。此書の末鈔を出され
J09_0286A04: たるが。一部始終謬り計にて。大に人を惑はすこと
J09_0286A05: なれば。其比淨土門の智識たる人。多く破斥の書を
J09_0286A06: 出されたり。中にも厭求上人の資。素信上人。旁觀
J09_0286A07: 記匡解と云。上下二卷の破文を著し。誠に石上に卵
J09_0286A08: を抛が如に。破されたり。古今破文の書。多しとい
J09_0286A09: へども。かかる嚴しきは見ず。軍に譬へば。義仲の
J09_0286A10: 倶利伽羅合戰の類と云べし。旁觀此下を解して云。
J09_0286A11: 此書を誓言と見たるは。誤りにして。上人の素意に
J09_0286A12: 非ず。總して起請は。胡亂がましきことにこそ用ゆ
J09_0286A13: れ等と。僻解紛紜。是古今無雙の大謬解なり。爾ら
J09_0286A14: ば。諸佛菩薩の誓願等は。皆うろんなることにや。
J09_0286A15: 總じて起請誓願に依てこそ。修證をも得。他の信を
J09_0286A16: も立することなれば。諸佛菩薩より始めて。祖師方
J09_0286A17: 及び道俗二衆迄も。此式を以。日課を誓ひ。戒をも
J09_0286B18: うくることなるに。彼人の如く云はば。自身も具戒
J09_0286B19: の比丘には非るべし。起請と立誓と。別なる物に非
J09_0286B20: ればなり。又天台宗にても非るべし。天台大師の。
J09_0286B21: 止觀七之二十五。紙起大誓願立此願已稱十方佛
J09_0286B22: 爲證爲救等とあり。弘決に是を立誓請加と釋す。台
J09_0286B23: 家の人。何ぞ祖師の釋を知らざるや。匡解の意爾れば。旁
J09_0286B24: 觀の妄解。少分の取るべきなければ。たとひ其書あ
J09_0286B25: りとも。手も觸べからず云云
J09_0286B26: 因に云。諦忍律師の一枚起請文諸説辨談に。旁觀
J09_0286B27: の解も一義なりと云云。是は律師の救ひ過しな
J09_0286B28: り。旁觀は起請に非。偏に他示し玉ふの義とす。何
J09_0286B29: ぞ是を一義と云はん。大師の此外に奧深き事を存
J09_0286B30: ぜば等と誓言し玉ふ中に。地の奧深きことありと
J09_0286B31: 存して。口稱を輕しめば。二尊の憐にはづるべし
J09_0286B32: と。敎示し玉ふ義を含むことは理在絶言なり。律師
J09_0286B33: 此義を深く考へずして云云。評ぜられしは所謂弘
J09_0286B34: 法も筆の誤り猿も木から落ると云ふ類なるべし。

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