浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0285A01: | 本願口稱の。此外に奧深きことなきぞとなり。大師三 |
J09_0285A02: | 十餘年。御勸進の本願念佛。其利益廣大なりしに晩 |
J09_0285A03: | 年の比。他宗に暗推の義發り。門弟に背宗の義起り |
J09_0285A04: | て。大師の御勸化をば。劣機の爲の。假りの方便なり |
J09_0285A05: | と捨てて。有智の爲には。別に奧深き安心起行あり。 |
J09_0285A06: | 是大師御眞實の秘傳なり。此義を學問せよ。領解せ |
J09_0285A07: | よと訇て。無智の男女に疑心を生を生ぜしめたり。御在 |
J09_0285A08: | 世の時。はや已にかかる邪義を立れば。滅後の邪説 |
J09_0285A09: | や。いかならんと。大悲の御胸をいため玉へども。 |
J09_0285A10: | いかがし玉はんや。既に佛力も業力に勝ずと云。其 |
J09_0285A11: | 衆生の業力に魔力の加はりて。立る所の邪義なれは。 |
J09_0285A12: | いかんともなし玉ふこと能はざるなり。是に依て。御心 |
J09_0285A13: | 中の正義を示して。御誓言を加へ。是に背ける義は。 |
J09_0285A14: | 我を誣る妄説にして。悉く滅後の邪義と。知るべし |
J09_0285A15: | と決し玉へり。實に是大師の善巧。無上の御手段な |
J09_0285A16: | り。されば前段に。願行相續の正義を擧て。此段に |
J09_0285A17: | 此外に別の奧深きことを存ぜず。もし存じて存ぜずと |
J09_0285B18: | 云はば。二尊の憐みにはづれて。三惡道におつへき |
J09_0285B19: | ぞと云趣きを。御詞やはらかに。御心はげしく。一大 |
J09_0285B20: | 事の後世の浮沈をかけて。誓ひ玉へる起請文にて。 |
J09_0285B21: | 是大師徹底無極の。大慈大悲なるなり。既に大師。 |
J09_0285B22: | うちたき。父の敵をも。うたずして。出家し玉ひ。 |
J09_0285B23: | はなれがたき。母御の膝下を離れて。遠く比叡山に |
J09_0285B24: | 上り。又遁れ難き。大衆の交りをのがれて。黑谷に |
J09_0285B25: | 隱遁し玉ひ。辭し難き。大佛勸進職の。勅命をも辭し。 |
J09_0285B26: | あまつさへ。勅勘流刑の。難までを忍で。一向專修 |
J09_0285B27: | を。興行し玉ふは。偏に二尊の憐みを仰いで。衆生 |
J09_0285B28: | とともに。極樂往生を。遂げ玉はん爲の。御苦勞な |
J09_0285B29: | り。さるを。最も御臨終も程あらじと云時に望んで。 |
J09_0285B30: | もし此外に奧深きことあらば。二尊の憐みにはづれ。 |
J09_0285B31: | 本願にもれんと迄。思ひ切て立玉ひたる御誓言。實 |
J09_0285B32: | に身の毛も。いよだつ程のことなり。爾れば此起請 |
J09_0285B33: | 文に勸め玉ふ。無觀無解の。口稱念佛を。一毫も疑 |
J09_0285B34: | ふは。空おそろしき大罪なる程に。返返疑なく。往 |