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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0285A01: 本願口稱の。此外に奧深きことなきぞとなり。大師三
J09_0285A02: 十餘年。御勸進の本願念佛。其利益廣大なりしに晩
J09_0285A03: 年の比。他宗に暗推の義發り。門弟に背宗の義起り
J09_0285A04: て。大師の御勸化をば。劣機の爲の。假りの方便なり
J09_0285A05: と捨てて。有智の爲には。別に奧深き安心起行あり。
J09_0285A06: 是大師御眞實の秘傳なり。此義を學問せよ。領解せ
J09_0285A07: よと訇て。無智の男女に疑心を生を生ぜしめたり。御在
J09_0285A08: 世の時。はや已にかかる邪義を立れば。滅後の邪説
J09_0285A09: や。いかならんと。大悲の御胸をいため玉へども。
J09_0285A10: いかがし玉はんや。既に佛力も業力に勝ずと云。其
J09_0285A11: 衆生の業力に魔力の加はりて。立る所の邪義なれは。
J09_0285A12: いかんともなし玉ふこと能はざるなり。是に依て。御心
J09_0285A13: 中の正義を示して。御誓言を加へ。是に背ける義は。
J09_0285A14: 我を誣る妄説にして。悉く滅後の邪義と。知るべし
J09_0285A15: と決し玉へり。實に是大師の善巧。無上の御手段な
J09_0285A16: り。されば前段に。願行相續の正義を擧て。此段に
J09_0285A17: 此外に別の奧深きことを存ぜず。もし存じて存ぜずと
J09_0285B18: 云はば。二尊の憐みにはづれて。三惡道におつへき
J09_0285B19: ぞと云趣きを。御詞やはらかに。御心はげしく。一大
J09_0285B20: 事の後世の浮沈をかけて。誓ひ玉へる起請文にて。
J09_0285B21: 是大師徹底無極の。大慈大悲なるなり。既に大師。
J09_0285B22: うちたき。父の敵をも。うたずして。出家し玉ひ。
J09_0285B23: はなれがたき。母御の膝下を離れて。遠く比叡山に
J09_0285B24: 上り。又遁れ難き。大衆の交りをのがれて。黑谷に
J09_0285B25: 隱遁し玉ひ。辭し難き。大佛勸進職の。勅命をも辭し。
J09_0285B26: あまつさへ。勅勘流刑の。難までを忍で。一向專修
J09_0285B27: を。興行し玉ふは。偏に二尊の憐みを仰いで。衆生
J09_0285B28: とともに。極樂往生を。遂げ玉はん爲の。御苦勞な
J09_0285B29: り。さるを。最も御臨終も程あらじと云時に望んで。
J09_0285B30: もし此外に奧深きことあらば。二尊の憐みにはづれ。
J09_0285B31: 本願にもれんと迄。思ひ切て立玉ひたる御誓言。實
J09_0285B32: に身の毛も。いよだつ程のことなり。爾れば此起請
J09_0285B33: 文に勸め玉ふ。無觀無解の。口稱念佛を。一毫も疑
J09_0285B34: ふは。空おそろしき大罪なる程に。返返疑なく。往

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