浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0281A01: | とがあるべし。此すぢを心得なば。上人兩やうの御 |
J09_0281A02: | 勸進。さらに相違をなすべからずと。凡佛法修行の |
J09_0281A03: | 一大事は。機敎相應と云にあり。總して云へば。大 |
J09_0281A04: | 乘小乘。聖道淨土の應不より。別して當段に就て云 |
J09_0281A05: | はば。機具知具の差別あるなり。大師兩樣に勸め玉 |
J09_0281A06: | はざれば。衆機に應ぜぬ故に。無智無病の機に對し |
J09_0281A07: | ては。今文の如機具を勸め。有病と學生との爲には |
J09_0281A08: | 廣く三心の釋を設け玉へり。此こと譬へば。疾前無藥 |
J09_0281A09: | 機前無敎とて。冷病には。桂附等の熱藥を用ひ。熱 |
J09_0281A10: | 病には。石膏等の冷藥を用ゆる事なるに。若し是を |
J09_0281A11: | 反轉して用ゆるときは。大害をなす如く。彼舍利弗 |
J09_0281A12: | 尊者の。弟子なる。金師の子に。不淨觀を敎へ。浣 |
J09_0281A13: | 衣家の子に。數息觀を敎へられたるに。精修すれど |
J09_0281A14: | も觀成せず。故に轉じて。金師の子に。數息觀を敎 |
J09_0281A15: | られたれば。金箔を打には。息を調るになれたれば |
J09_0281A16: | 速に觀成し。浣衣家の子に。不淨觀を敎へられたれ |
J09_0281A17: | ば。故衣を洗ふて。不淨なることを能知る故に。日を |
J09_0281B18: | 經ずして。觀成せしと云が如し。爾れば。往生がし |
J09_0281B19: | たさに。念佛唱ふる人には。何も三心の沙汰はいら |
J09_0281B20: | ぬこと故。今の文には。但し三心四修と申事の候は。 |
J09_0281B21: | 乃至籠り候なり。と示し玉ひ。常の御法語にも。心に |
J09_0281B22: | は阿彌陀佛たすけ給へと思ひ。口に南無阿彌陀佛と |
J09_0281B23: | 唱ふるを。三心具足の念佛といふなり。と敎へ玉ひ |
J09_0281B24: | 又唯ひらに信じてだにも念佛すれは。すすろに三心 |
J09_0281B25: | はあるなり。さればこそ世にあさましき一文不通の |
J09_0281B26: | 輩の中に。一筋に念佛するものは。臨終正念にして |
J09_0281B27: | めてたき往生ともをするは。現證あらたなる事なり |
J09_0281B28: | 中中に能もしらぬ三心沙汰して。あしさまに心得た |
J09_0281B29: | る人は。臨終のわろくのみありあひたるは。夫にて |
J09_0281B30: | 誰誰も心得べきなり。との玉へるよりして。御滅後に |
J09_0281B31: | も。隨蓮の夢に入ては。蓮華を蓮華と見るの譬を以。 |
J09_0281B32: | 橫具を示し。住心房の。夢中に問はれても。念佛はま |
J09_0281B33: | たく風情もなし。唯申より外の事なしと。答へ給へる |
J09_0281B34: | など。皆是橫具徹底の所を示し給ふ。御敎示なれば。 |