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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0281A01: とがあるべし。此すぢを心得なば。上人兩やうの御
J09_0281A02: 勸進。さらに相違をなすべからずと。凡佛法修行の
J09_0281A03: 一大事は。機敎相應と云にあり。總して云へば。大
J09_0281A04: 乘小乘。聖道淨土の應不より。別して當段に就て云
J09_0281A05: はば。機具知具の差別あるなり。大師兩樣に勸め玉
J09_0281A06: はざれば。衆機に應ぜぬ故に。無智無病の機に對し
J09_0281A07: ては。今文の如機具を勸め。有病と學生との爲には
J09_0281A08: 廣く三心の釋を設け玉へり。此こと譬へば。疾前無藥
J09_0281A09: 機前無敎とて。冷病には。桂附等の熱藥を用ひ。熱
J09_0281A10: 病には。石膏等の冷藥を用ゆる事なるに。若し是を
J09_0281A11: 反轉して用ゆるときは。大害をなす如く。彼舍利弗
J09_0281A12: 尊者の。弟子なる。金師の子に。不淨觀を敎へ。浣
J09_0281A13: 衣家の子に。數息觀を敎へられたるに。精修すれど
J09_0281A14: も觀成せず。故に轉じて。金師の子に。數息觀を敎
J09_0281A15: られたれば。金箔を打には。息を調るになれたれば
J09_0281A16: 速に觀成し。浣衣家の子に。不淨觀を敎へられたれ
J09_0281A17: ば。故衣を洗ふて。不淨なることを能知る故に。日を
J09_0281B18: 經ずして。觀成せしと云が如し。爾れば。往生がし
J09_0281B19: たさに。念佛唱ふる人には。何も三心の沙汰はいら
J09_0281B20: ぬこと故。今の文には。但し三心四修と申事の候は。
J09_0281B21: 乃至籠り候なり。と示し玉ひ。常の御法語にも。心に
J09_0281B22: は阿彌陀佛たすけ給へと思ひ。口に南無阿彌陀佛と
J09_0281B23: 唱ふるを。三心具足の念佛といふなり。と敎へ玉ひ
J09_0281B24: 又唯ひらに信じてだにも念佛すれは。すすろに三心
J09_0281B25: はあるなり。さればこそ世にあさましき一文不通の
J09_0281B26: 輩の中に。一筋に念佛するものは。臨終正念にして
J09_0281B27: めてたき往生ともをするは。現證あらたなる事なり
J09_0281B28: 中中に能もしらぬ三心沙汰して。あしさまに心得た
J09_0281B29: る人は。臨終のわろくのみありあひたるは。夫にて
J09_0281B30: 誰誰も心得べきなり。との玉へるよりして。御滅後に
J09_0281B31: も。隨蓮の夢に入ては。蓮華を蓮華と見るの譬を以。
J09_0281B32: 橫具を示し。住心房の。夢中に問はれても。念佛はま
J09_0281B33: たく風情もなし。唯申より外の事なしと。答へ給へる
J09_0281B34: など。皆是橫具徹底の所を示し給ふ。御敎示なれば。

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