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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0273A01: らは。初段の觀念義解をば捨て。此段の無解稱名に
J09_0273A02: 決心して。ただ一向に願行具足の念佛を相續すべし
J09_0273A03: と結勸し玉へるなり。如此見れば。一編の文段脈絡
J09_0273A04: 貫通し。文に歸趣ありて意味窮りなし。然れば前後
J09_0273A05: の諸段は。皆此段の爲なれば。唯此一段のみ。實に
J09_0273A06: 篇中の骨髓なり。行者深く思を染めて。ゆめゆめ忽
J09_0273A07: 緖なること勿れ。先一應文義を辨じて。細旨は次に談
J09_0273A08: ぜん。
J09_0273A09: 唯往生極樂の爲には。唯とは。唯識述記曰唯伹不
J09_0273A10: 借餘縁云云。今の意は。抑此起請文の。本願念佛と
J09_0273A11: 云は。何の爲ぞと云に。餘の爲でない。唯往生極樂
J09_0273A12: の爲なり。餘の爲とは。念佛に就ても。種種の爲に
J09_0273A13: する。念佛がありて。天台には止觀の念佛とて。妄
J09_0273A14: 念を止める爲の念佛があり云云。又律家には。好相感
J09_0273A15: 得を求むる念佛があり云云。或は祈念祈禱息災延命
J09_0273A16: の爲の念佛等の。種種の念佛があるなり。如是一切
J09_0273A17: 餘の爲にする念佛を拂ひ捨て。唯往生極樂の爲の念
J09_0273B18: 佛ぞと。ゑらぶ意なり。
J09_0273B19: 往生とは。捨此往彼の義なれば。總して何れの趣へ
J09_0273B20: 生を受るにも。通ずる言なれ共。言總意別とて。餘
J09_0273B21: 趣へ生るるをば。往生と云はず。往生と云へば。淨
J09_0273B22: 土へ生るることになるなり。
J09_0273B23: 三惡道へ生ずるをば。沉淪墮落等と云。人天へ生
J09_0273B24: るをば。受生等と云。又他佛の淨土兜卒等は。夫
J09_0273B25: れ夫れへ往生とことはる。唯往生と計云ときは。
J09_0273B26: 三歳の兒童も。極樂と知る。是自然と極樂の超勝
J09_0273B27: 又娑婆に因縁深きこと可知。
J09_0273B28: さて此往生の文字の。出處はと云へば。法華經中。
J09_0273B29: 藥王菩薩本事品に。即往安樂世界。阿彌陀佛。大菩
J09_0273B30: 薩衆。圍繞住處。生蓮華中。寳座之上。とある是な
J09_0273B31: り。
J09_0273B32: 日徒極樂を謗ず。己が依經を毀謗す。可憐云云
J09_0273B33: 爾れば。往生極樂の爲とは。此穢惡充滿の國界を捨
J09_0273B34: 離して。彼微玅莊嚴。但受諸樂の淨土に。往生する

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