浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0271A01: | 世の邪義不正義も。安心起行を僻解するの外なけれ |
J09_0271A02: | ば。古來訛謬の本を斷ちて。滅後枝葉の邪義を。防 |
J09_0271A03: | ぎ給ふの妙案なり。其所以は。既に大師の御在世の |
J09_0271A04: | 中より。他宗に闇推の邪徒ありて。大師も實は觀念 |
J09_0271A05: | 理持の甚深なる念佛を本意とし給へども。無智の劣 |
J09_0271A06: | 機の及ばさることなれば。彼等に結縁の益を與へん爲 |
J09_0271A07: | の。方便なりと云類あり。又御滅後に一遍上人の。 |
J09_0271A08: | 思經念佛共是地獄㷔心本源自然無念也 無念作用 |
J09_0271A09: | 唯南無阿彌陀佛唱ふれは佛も我もなかりけり。南無 |
J09_0271A10: | 阿彌陀佛の聲ばかりして。などど云類は。觀念の念 |
J09_0271A11: | にも非と。仰られたるにて拂ひ盡し給へり。又。大 |
J09_0271A12: | 師御在世の中より芽し。御滅後に盛んになりし。成 |
J09_0271A13: | 覺法本及び綽空が。六字の姿を心得わけて。信心了 |
J09_0271A14: | 解の端的に。往生が顯現するなどど云は。念の心を |
J09_0271A15: | 悟りて申念佛にも非と。仰せられたるに拂ひ盡され |
J09_0271A16: | たり。見べし其本の訛謬を擧て。枝葉の邪義を拂ひ |
J09_0271A17: | 盡し玉ふ。巧玅の御遺訓。仰ひで信受し奉るべきな |
J09_0271B18: | り。爾れば元祖大師の正流を汲。順次往生と志す。 |
J09_0271B19: | 專修の行者は。古來の謬解。末代の邪義。一切心さ |
J09_0271B20: | ばくりにかかりあふ念佛は。皆本願に背くぞと云こと |
J09_0271B21: | を。訖度思ひ定め。本願口稱の正意を守り。順次往 |
J09_0271B22: | 生の大益を得べし。斯く决著しての上には。若し此 |
J09_0271B23: | 本願念佛と云が。觀念じやの理解じやのと云念佛な |
J09_0271B24: | らば。所詮我等が分で往生と云は。思ひ絶へたること |
J09_0271B25: | ぞと云所を。思ひめぐらして。專修のはげみに備ふ |
J09_0271B26: | べ―。此こと一の事實を擧て示さば。『昔し唐土趙宋の |
J09_0271B27: | 第四主仁宗皇帝の世に。邵康節先生とて。易學に達 |
J09_0271B28: | せし人あり。されども猶研究にあくことなき心より。 |
J09_0271B29: | 或老翁の易に妙あることを聞て尋ね行案内しければ。 |
J09_0271B30: | 妻女の云。家人今は亡びたり。但し遺書一冊あり。 |
J09_0271B31: | 遺言して曰。某年某月某日某時。一人の秀才。吾家 |
J09_0271B32: | に來るべし。其時此書を渡すべしと。申候ひしとて。 |
J09_0271B33: | 是を出す。則易書なり。先生則此書を以。此家を卜 |
J09_0271B34: | して曰。汝の臥す床の下に。白金一壺あるべし。是 |