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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0269A01: ば。諸宗各各我宗に釋し入たり。眞言には。阿字本
J09_0269A02: 不生の義。四十二字を出生せり。阿字は。一切音聲諸敎の本なり。口を開けば皆阿
J09_0269A03: の聲あり。故に衆聲の母とす。本不生とは一切の言語は因縁より生じて。自性なし。自性なきが故に。本不生なり。四十二字等とは。大品經に
J09_0269A04: 出て。阿囉波遮那等の四十二字を説く。此四十二字は。一切の字の根本なり。其中に阿字亦根本なり一切の法門。
J09_0269A05: は阿字をはなれたる事なきが故に。功德甚深の名號
J09_0269A06: なりといへり。一切根本の阿字を以。名號とし給へる。阿彌陀如來なれば。一切諸善の積集。功德圓滿の名號と云
J09_0269A07: となり。天台には空假中の三諦。諸法は自性なしと觀ずる。是れ空諦觀なり。爾れども假相なき
J09_0269A08: に非。是れ假諦觀なり。實に心體をたづぬるに。絶て空なるにも非。偏に假なるにもあらす。唯是不思議の妙處なりと觀す。是れ中諦觀なり。
J09_0269A09: 正了縁の三義。正了縁とは。三佛性なり。正因佛性とは衆生所具の佛性なり。了因佛性とは。菩提の智慧問法受
J09_0269A10: 持修習して。所具の智慧を開發するを云。縁佛性とは。彈指散華等の功德によつて。無始巳來の一切善根。一時に開發するを云。法報
J09_0269A11: 應の三身。法身とは。眞如平等。性相常然。身土無礙なるを云。報身とは。因を修して報を感じ。相好無盡。壽命無盡な
J09_0269A12: るを云。應身とは智體大用を起し。機に隨て普く現じ。説法利生し給ふを云。如來所有の功德。是を
J09_0269A13: 阿彌陀の三字なり出ざるが故に。功德莫大といふ。如是諸宗に。
J09_0269A14: 各各の我存る處の法に就て。阿彌陀の三字を釋せり。
J09_0269A15: 今我宗の心は。眞言の阿字本不生の義も。天台の三諦
J09_0269A16: 一理の法も。三論の八不中道の旨も。不生不滅不常不斷等の。八不の法門
J09_0269A17: を以。一切の著を拂ふて。中道を悟るなり。法相の五重唯識の意も。法相宗觀門の次第なり。萬法唯
J09_0269B18: 識と悟るに。五重の觀あり。總じて森羅の萬法廣く是を攝すと習ふ。
J09_0269B19: 極樂界にもれたる法門なきが故なり。從來は念佛に
J09_0269B20: 付て。諸宗の義解と。淨土門の義解をならべ擧げて。
J09_0269B21: 諸宗の義解は。唯其一宗の肝要に釋し入るる故に。
J09_0269B22: 其義狹く。淨土門に於ては。一切諸宗の肝要の法門
J09_0269B23: はもとより。森羅の萬法。悉く名號中に含藏すると
J09_0269B24: 立る故に。至て廣博なり。されば。大師大原に於て。
J09_0269B25: 三百餘人の智者學匠達に對して。萬善玅體即名號
J09_0269B26: 六字恒沙功德備口稱一行と仰せられたる。即ち此
J09_0269B27: 義趣なり。大師さの如。諸法超過を募り給ふ。其證
J09_0269B28: はと云はば。楞伽經曰十方諸刹土衆生菩薩中所有法
J09_0269B29: 報佛化身及變化皆從無量壽極樂界中出と是れ其證
J09_0269B30: なり。さて右の如。諸宗の人師と我大師と。念佛の
J09_0269B31: 具德を解知解了し給ふに。具德の廣狹はあれども。
J09_0269B32: 共に是義解なり。爾らば。念のこころをさとりて申
J09_0269B33: と遮し給ふに。齟齬するに非ずやと云に。同じく義
J09_0269B34: 解なれども。所望不同なり。今諸師の義解を拂ひ給

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