浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0268A01: | 上人。又可圓律師等を拜し。淨土の要法を聞き。日 |
J09_0268A02: | 課念佛三萬返を誓受し。孜孜として怠らず。爾るに。 |
J09_0268A03: | 明和六丑年五月。大熱病をやみて。口唇黑く焦れ。舌 |
J09_0268A04: | は木石の如くすくみ。言語もわかりかねしかど。念 |
J09_0268A05: | 佛のみは高聲分明なり。其志の勇猛なること。猶是に |
J09_0268A06: | 十倍せる苦みありとも。念佛は少しもゆるむまじき |
J09_0268A07: | 氣色なりしとぞ。終に同月晦日朝五つ時。念佛と共 |
J09_0268A08: | に息たゆぬ。其初七日にあたりぬる日。子息門平。 |
J09_0268A09: | 父が所持の紙入を見るに。他見無用と書き付たる一 |
J09_0268A10: | 封あり。母と共に是を開き見るに。自筆にて。明和 |
J09_0268A11: | 四亥年八月十五日。佛よりさづかる『唯たのめ賴む |
J09_0268A12: | 心のあるならは。南無阿彌陀佛を聲にいだせよ。』往 |
J09_0268A13: | 譽成易と。したためありければ。命終より三年の前。 |
J09_0268A14: | したしく佛の御告をうけられしことよと。母子とも感 |
J09_0268A15: | 喜して。彌念佛を進みしとぞ。成易無顧の惡人なり |
J09_0268A16: | しかども。愛子の遺言に改悔して。殺生を止め。念 |
J09_0268A17: | 佛の行者となり。まのあたり佛勅を蒙り。業事成辨 |
J09_0268B18: | して。往生の素懷をとぐ。昇沈刹那にへだだり。苦 |
J09_0268B19: | 樂一念を違ふ。人人爰に心をつくべし云云。近世往生傳三出從 |
J09_0268B20: | 來阿彌陀如來の本願は。口稱念佛なるの義。經釋に |
J09_0268B21: | より。道理により。辨ぜし上。猶此成易に。親しき佛 |
J09_0268B22: | 勅にも。唯賴め賴むとならは。我本願の念佛を。聲に |
J09_0268B23: | 出して申せと告玉ひて。決して事理の觀念にあづか |
J09_0268B24: | らざること見つべし。故に。大師今此遺誓に。もろこ |
J09_0268B25: | し。我てうにもろもろの智者達のさたし申さるる觀 |
J09_0268B26: | 念の念にもあらず。と拂ひ給へるなり。已上揀觀念 |
J09_0268B27: | 謬解の科を畢。 |
J09_0268B28: | 又學文をして。念の心をさとりて申念佛にもあら |
J09_0268B29: | ず。 |
J09_0268B30: | 此文は揀理解謬解の科なり。 |
J09_0268B31: | 念の心をさとりて。とあるけ證悟の義には非。解了 |
J09_0268B32: | の義にて。念佛には如此道理あり。如此具德あり |
J09_0268B33: | と。解知解了するを。義解念佛と云なり。此こと大師 |
J09_0268B34: | に委しき御示し。語燈錄に出たり。此三字の名號を |