浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0265A01: | 風大所成の御佛と云に就て。別して貴きは。此界の |
J09_0265A02: | 衆生は。阿彌陀如來に至て。因縁が深いなり。其故 |
J09_0265A03: | は。諸佛如來に。六根説法と云ことありて。或は目で |
J09_0265A04: | 見て悟らせ玉ふ。御説法あり。鼻にかぎ。舌に味ひ。 |
J09_0265A05: | 身に觸れ。意に念して。さとらせ玉ふ等の。御説法 |
J09_0265A06: | あるに。阿彌陀如來は。風大所成にして。音聲説法 |
J09_0265A07: | し玉ふ。如來なる故に。此界の衆生に。偏に。因縁 |
J09_0265A08: | が深いなり。云何となれば。此界の衆生は。六根の |
J09_0265A09: | 内に。耳根が利なる故なり。眼根は紙一重隔れは。 |
J09_0265A10: | 其先きを見ること能はず。鼻根は少し隔れば。香臭を |
J09_0265A11: | 辨へず。舌根は正く其物に觸れざれは。味ひを知ら |
J09_0265A12: | ず。身に觸るるときは。却て觸欲を生して。法に遠 |
J09_0265A13: | ざかる。意はさはがしく愚にして。深理に通ずること |
J09_0265A14: | を得ず。唯耳根のみ利にして。垣壁隔てた先の聲を |
J09_0265A15: | も聞書ひては分り兼ねる。むつかしひ義理をも。云 |
J09_0265A16: | て聞かせば聞分るなり。爾れば。能化の如來は。音 |
J09_0265A17: | 聲説法を司り玉ふ如來なり。所化の衆生は。耳根利 |
J09_0265B18: | なる此界に生れたれば。聲と耳と對する勝縁と云も |
J09_0265B19: | のなれば。諸佛の中に。別して阿彌陀如來に。因綠 |
J09_0265B20: | 深きなり。爾れば此勝縁を空く。しやう筈はなひこと |
J09_0265B21: | なれば。能能此御遺誓の趣きを聞受くべしきことな |
J09_0265B22: | り。 |
J09_0265B23: | 世間に無筆の者を。明盲と云て。自らも慚ぢ。他 |
J09_0265B24: | もいやしむることなれども。是には。百千萬倍勝れ |
J09_0265B25: | て。あさましきは聞聾なり。世間のことや。邪法を |
J09_0265B26: | ば。蟻のささやくやうに云をも。牛の吼る如く聞 |
J09_0265B27: | なせども。正義正法をば。聾ほども聞得取らぬな |
J09_0265B28: | り。是何故なれば。無常の習を忘れて。常住の僻 |
J09_0265B29: | 見に住するもの故。三惡道を恐るる心もなく。極 |
J09_0265B30: | 樂往生の志もなし。依て適正義を聞ても。片づま |
J09_0265B31: | つたの。偏屈なのと。信ぜぬのみか。誹謗迄をな |
J09_0265B32: | し。若申すは自力と云やうなる。邪義を聞ては。 |
J09_0265B33: | 勝手がよひ故。他力の底じやと。邪信を生じ。祈 |
J09_0265B34: | 念になる。祈禱になると。橫筋違にたらかせば。元 |